平成30年4月頃に公表が予定されている収益認識に関する会計基準(案)は、5つのステップから構成される。

ステップ1は、顧客との契約を識別する。ステップ2は、契約における履行義務を識別する。ステップ3は、取引価格を算定する。ステップ4は、契約における履行義務に取引価格を配分する。ステップ5は、履行義務を充足した時又は充足するにつれて収益を認識する。ステップ1から4までは、主に会計処理の対象項目を識別し測定するためのガイダンス(小林・石井[2016]、20頁)であり、ステップ5で収益認識の時点が決まることになる。5つのステップを表にまとめた。それぞれのステップに要件等が別に定められ、それらを充足しないと収益の認識をすることができない。

収益認識(案)5つのステップ

内   容 備 考
1 顧客との契約を識別する 収益認識の単位を決定
2 契約における履行義務を識別する
3 取引価格を算定する 収益の額を算定
4 契約における履行義務に取引価格を配分する
5 履行義務の充足

・充足した時に収益認識

・充足するにつれて収益認識

認識時点の決定

(出所)山本[2017]、5頁を参考にして筆者が作成。

(原出所)米国公認会計士協会AICPA(2017)pp.79-80の表

ステップ5における履行義務の充足は、「履行義務が充足した時に収益認識」するか、「履行義務が充足するにつれて収益認識」するかの二つである。工事進行基準と関連する履行義務が充足するにつれて収益認識する場合を確認する。

その定義は「履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合にのみ、一定の期間にわたり充足される履行義務について収益を認識する」(41項)と定めている。工事契約については、一定の期間にわたり充足される履行義務を満たすには、二つの条件が必要であり、一つは、資産を別の用途に転用することができないことであり、もう一つは、少なくとも履行を完了した部分についての補償を受ける権利を有していることである(35項)。一般的に、建設業の請負契約には、この二つと同趣旨の条項は網羅されているが、請負契約書を作成する上でのポイントになり、外せない項目である。左記の内容を工事契約で検討する。顧客は建設中の資産を他に転用することを認めていないし、顧客は契約を解約する権利を有していない。企業が建設工事を完了した場合には、顧客は契約金額を支払う義務があるものとされている。なお、企業が建設工事を履行しない場合には、顧客は契約を解約する権利がある。

41項の定義は、現行の工事契約会計基準に定める①工事収益総額、②工事原価総額、③決算日における工事進捗度の3要素を満たした時に工事進行基準を適用することができる場合と、ほぼ同趣旨の内容になっている。「履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積る」ことが3要素と同義と捉えることができる。その進捗度は「類似の履行義務及び状況に首尾一貫した方法を適用する」(39項)と定め、「履行義務の充足に係る進捗度は、各決算日に見直し、当該進捗度の見積りを変更する場合は、会計上の見積りの変更(企業会計基準第24号『計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準』第4項(7)として処理する」(40項)と定義している。やはり、進捗度が重要な要素になってくる。

収益認識(案)は、工事進行基準の適用に関しては、工事進捗度と履行義務の充足に収斂される。履行義務の充足は、「充足した時に収益認識」するか、「充足するにつれて収益認識」するかの2つであり、工事進行基準は、後者に該当し工事収益を認識することになる。