1.経営業務管理責任者の過去における常勤性の確認書類

大阪府から「建設業許可申請の手引き」の平成30年4月改訂版がアップされた。

今回の改定版で、過去の実績を活かして新規申請や経営業務管理責任者の変更届を申請する場合において、常勤の役員だったことを確認するために、法人税の確定申告書のうち「役員報酬手当及び人件費の内訳書」が追加された。以前までの手引きには記載がなく、商業登記簿謄本(閉鎖謄本を含む)だけの記載だった。現実の窓口審査でも、過去の経営経験についての常勤確認は求められていない。

改定版(11頁)の内容は、表-1のとおりである。

 

表-1 過去の実績を活かす場合の経営経験に関する確認書類

営業の実態 法人税の確定申告書の別表1及び決算報告書
営業の実績 工事契約書、注文者、請求書等
常勤の役員

商業登記簿謄本、役員欄の閉鎖謄本

確定申告書のうち「役員報酬手当及び人件費の内訳書」

※今回、新しく追加された。

 

2.過去に建設業の許可を受けていた建設業者での経験を確認する書類

これに関しては、従来と同じである。改訂版(12頁)に記載されている。

過去に建設業の許可を受けていた建設業者での経験を確認する書類は、表-2のとおりである。経営業務の管理責任者を「経管」と略す。

 

表-2 過去に建設業の許可を受けていた建設業者での経験を確認するための書類

過去に経管の

証明がある場合

①建設業許可申請書又は変更届の一部

②経営業務の管理責任者証明書(様式第7号)

過去に経管の

証明がない場合

①建設業許可申請書、変更届の一部及び

経営業務の管理責任者証明書(様式第7号)

②建設業許可通知書(経験年数分)

③決算変更届の一部(直近分)

④法人の役員は、商業登記簿謄本、役員欄の閉鎖謄本

 

上記の「過去に経管の証明がない場合」には、過去5年間ないし6年間の確認書類は、商業登記謄本(役員欄の閉鎖謄本)だけである。つまり、確定申告書のうち「役員報酬手当及び人件費の内訳書」の常勤性を確認する書類を求めていない。これは、窓口審査が簡略化されていると解釈される。つまり、建設業の許可業者における取締役経験は、常勤、非常勤に関わらず経営経験を有していると理解できる。また、1の「過去の実績を活かす場合の経営経験に関する確認書類」と、テーブルを別にして、許可審査が実施されていると思われる。今回の改定版は、「過去の実績を活かす場合の経営経験に関する確認書類」に、役員の常勤性が確認される。

すでに平成30年4月に入り、2のケースである「過去に建設業の許可を受けていた建設業者での経験を確認するための書類」で、経管の変更届を申請しているが、常勤性の確認は求められなかった。従来どおりの審査であった。