1.解体工事業について

解体工事業は、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」及び「建設業法」の二つの法律が関係してくる許可業種である。建設リサイクル法では、一つの請負が500万円未満の解体工事を施工する場合は、解体工事業の登録が必要である。一方、建設業法では、一つの請負が500万円以上の解体工事を施工する場合は、建設業の許可が必要である。

つまり解体工事業を営む場合は、500万円未満の軽微な工事であっても「解体工事業の登録」が必要になる。内装仕上げ工事や造園工事のように、500万円未満の軽微な工事は建設業の許可を取得しなくても違法ではないが、解体工事業は500万円未満でも違法になる(平成14年5月以降)。「解体工事業の登録」及び「建設業の許可」のない解体工事業の実務経験は違法であり、適法でなく一切認めていない(平成14年5月以前は可)。もちろん、その間の「経営業務の管理責任者」の実績も認めていない。

したがって解体工事業は、建設リサイクル法及び建設業法の二つの法律で縛っていることになり、建設業の新規許可を申請する時には、配慮が必要である。もっとも、解体工事業以外の実績が6年以上あり、2級土木施工管理技士の資格者が在勤すれば、建設業の許可申請は可能になる。

解体工事業について、以上の内容をまとめると、表1のとおりである。

表1 解体工事業について(二つの法律が縛る許可業種である)

法的根拠 内  容 備  考

建設リサイクル法

(解体工事業登録)

500万円未満の解体工事

登録が必要(軽微な工事)

①他社の実務経験証明書が必要。

②適法でない実務経験は認めない。

(H14年5月以降の経験)

③他社で経験がなければ、登録申請ができない。自営業での経験は、登録をしていない場合は実務経験とは認めない。つまり、適法でないから。

建設業法

(建設業許可)

500万円以上の解体工事

許可が必要(軽微な工事以外)

※建設業の許可を得ている場合は、登録は必要ない。

 

解体工事業登録する場合の実務経験年数は、表2のとおりである。

表2 解体工事業登録の実務経験年数

学 歴 等 解体工事業登録 参 考
通 常 講習受講者 建設業許可
一定の学科を履修した大学卒・高専卒 2年 1年 3年
一定の学科を履修した高校卒 4年 3年 5年
上記以外 8年 10年 10年

※講習とは、全国解体工事業団体連合会が実施する講習です。(03-3555-2196)

 

実務経験がなくても、解体工事業登録の技術管理者になれる資格は、表3のとおりである。2級土木施工管理技士がお勧めである。もっとも、資格によっては受験申請する時に実務経験が求められるものがあり、チェックが必要である。必ずしも、解体工事業の実務経験がなくても、土木工事やとび土工工事の実務経験でも、2級土木施工管理技士の受験は可能である。

表-3 有資格者一覧表

  資   格 備  考
1 解体工事施工技士

全国解体工事業団体連合会が実施する試験

(03-3555-2196)

2 2級土木施工管理技士(土木) 建設業法による技術検定
3 1級土木施工管理技士
4 1級建設機械施工技士
5 2級建設機械施工技士(第1種、第2種)
6 1級建築施工管理技士
7 2級建築施工管理技士(建築・躯体)
8 1級とび+とび工 職業能力開発促進法による技術検定
9 2級とび+解体工事の実務経験1年
10 2級とび工+解体工事の実務経験1年
11 1級建築士 建築士法による建築士試験
12 2級建築士
13 技術士(建設部門) 技術士法による技術士試験

 

2.建設業の許可を取得するための対策

解体工事業は、「解体工事業の無登録」及び「建設業の無許可」の自営業として過去の実績があっても、建設業の許可申請ができない。つまり、適法でない解体工事の実務経験は認めないから、注文者や請求書等の疎明する資料があっても、ストレートで建設業の許可申請はできない。もちろん「経営業務の管理責任者」経験も認められない。それは、適法でないから認めないということである。それでは、どうすれば解体工事業の許可を取得することができるのか、次にまとめてみる。

⑴ まずは、解体工事業の登録をする

① 比較的簡単な「解体工事施工技士」の資格を取得する。

② 次に解体工事業の登録をする。

③ その後、6年以上の「経営業務の管理責任者」の経験を積む。(適法業者となる)

④ この間に、2級土木施工管理技士の資格を取得する。

 

⑵ 次に建設業の許可を得る

① 経営業務の管理責任者は、登録時代の適法業者としての6年間の実績が可能になる。

② 2級土木施工管理技士があれば、解体工事業が取得できる。

③ 実務経験だけの場合は、あと4年の実務経験が不足する。

④ また、土木工事や舗装工事も同時に取得することが可能になる。

 

⑶ 登録をせず、いきなり建設業の許可を取得する方法

① 解体工事業でない、例えば、内装仕上げ工事やとび土工工事の実績が6年以上あれば、経管の要件が満たせる。つまり、500万円未満の軽微な内装仕上げ工事やとび土工工事は適法だから、注文者や請求書の疎明資料があれば認めてくれる。解体工事業のように500万円未満の工事を法律で縛っていないからである。6年以上あれば、どんな工事の経管にもなれる。あとは、2級土木施工管理技士を取得すれば、解体工事業を取得することが可能になる。また、土木工事や舗装工事も同時に取得することが可能になる。

② 1日も早く、2級土木施工管理技士を取得することである。

 

⑷ 結論

1日も早く、比較的とりやすい「解体工事施工技士」の資格を先に取得し、解体工事業の登録をすることである。また、解体工事施工技士は建設業の許可の専任技術者になることも出来るので、別途「経営業務管理責任者の要件」があれば、いきなり、建設業許可の解体工事業の許可申請も可能である。

さらに、2級土木施工管理技士(土木)なら、解体工事業の登録にも、建設業の許可にも利用することができ、同じ勉強するなら、いきなり、2級土木施工管理技士を目指すことである。