よく印紙税を節約するために、請負契約書の原本を発注者に渡し、自社は写しで済ますことがあります。この時に注意することを述べます。

結論を先に書きます。写しをそのまま保管しておけば、課税されることはありません。写しでは、法的効力が薄く、念のために、写しにまた両者の署名をしたり、相手方の署名をもらってしまうと、課税対象になります。

相手方の署名や印鑑がなく、自社の印鑑だけを押したものは、契約の相手方に対して証明にならないので、課税対象とはなりません。

請負契約は、契約の成立を証明するために交わす文書ですから、写しに両者の印鑑があったり、相手方の印鑑があれば、印紙税の課税対象になります。

契約書の写しが、課税文書に該当しないようにするには、次の2点がポイントになります。

1.契約書の上から署名や押印をしないこと。

2.契約書に「この契約の証として、本契約書を一通作成して乙がこれを保有し、甲はこの写しを保有することについて、甲乙双方が確認した」の文書を入れること。

この写しの欠点は、契約の成立で裁判になった時に、原本よりも証拠としての価値が低いと判断される可能性があります。

印紙税を節約するために、多くの建設会社では自社で写しを保管しておくのですが、契約時には、慎重に判断なさってください。