1年前に許可切れしたA社の社長から電話があった。

事情があって会社を閉めた。今は表に出ることができず、自分は行方不明の状態になっていると言う。

新しく会社を準備中で、知り合いを代表に立て、建設業の許可をとってほしいとのこと。自分はどうしても表にでることができないという。もちろん、10年以上も建設業の経営をやってこられたので、A社の社長には許可要件がある。

しかし、新しい会社の取締役にも就任できないから、違う方を経営管理責任者にもってこないと、許可要件がない。今度の新会社の代表者にも要件がないようだ。

私は尋ねた。どうして表に出られないのですか?

銀行、保証協会などの返済をストップして、逃げている。行方がわからない状態になって、表に出られないという。

表にでられないのではなく、出たくないのでしょう。逃げ隠れしても、事が前に進むのですか? 銀行関係の借金だけなんでしょう。どうして逃げるのですか。

新会社の代表者になって、正々堂々と交渉すればいいじゃないですか。そうすれば、建設業の許可も取れるし、反対に信用されますよ。デメリットは当分の間、銀行関係から融資を受けられないだけですよ。

逃げたって道は開けることは絶対にない。正々堂々と生きていけばよい。逃げる人間に誰も手をかさない。辛いけど、まともにぶつかっていった時に、本当に応援してくれる方が現われる。いい勉強をされたのだから、今度は二度と借金しないような会社にすればよい。

社長が生まれ変われば、新しい会社も蘇る。アグラをかいていたから会社がダメになった。ならば、それを教訓にして再生すればよい。まず社長からだ。それには逃げ廻らず、正々堂々と頭を下げて、長く交渉していけばよい。命まで取られることはない。

どんなピンチも自分の肥やしになる。それを己の糧にした者だけが、真の経営者になっていく。そこに光が輝きだし、良い応援者が現われる。逃げていたら、ロクな人間ばかりと縁をもち、真の意味で幸福になることがない。

このような話をA社の社長にした。社長は答えた。「目が覚めました。すぐに今進めている会社の代表に就任します。許可の件、よろしくお願いします」