1.概要

この指標の寄与度は、経営分析のY点全体の21.4%も占めます。経営分析8つの指標の内、2番目に寄与度が高い指標です。1番高い指標が、純支払利息比率の29.9%です。この2つで51.3%になり、経営分析のY点をアップさせるには、この2つに力点をおいて、改善を目指すことです。

3番目に高い指標は、自己資本比率の14.6%で、4番目が負債回転期間の11.4%です。これら4つで77.3%の寄与度になります。8つの指標の内、半分の4つで、全体の77.3%も占めますので、優先的にこの4つの指標を強く意識なさってください。

繰り返しますが、純支払利息比率の29.9%、総資本売上総利益率の21.4%、自己資本比率の14.6%、負債回転期間の11.4%の4つです。これら4つに共通していることは、自己資本が充実していて、無借金経営に近く、売上総利益(粗利益)の良いことにつきます。毎期、一定の余剰金を上げ、戦略的に増資資金を積み立てている会社です。元請工事の積算名人がいて、実行予算を確実にこなせる会社が、この4つの指標を制覇することになります。

積算名人を育てることです。役所と予算を交渉できる従業員を確保することです。ダム経営の人材のダムが、この指標を最大にします。工事現場を見た瞬間に、どれだけの粗利益を稼ぐことが出来るかが勝負です。そのためにも、下請工事ではなく、元請工事にシフトしていく体制を、戦略的に創っていく努力が必要になってきます。

経審全体の話になりますが、規模規模アップに関しては、どの企業も努力され、社会性評価等は満点に近く、差がつきません。その点、経営分析の4つの指標で、他社に差をつけるチャンスでもあります。この4つをアップさせるためには、中長期的な視野に立ち、戦略的経営で、勝ち抜いていくしかありません。日々の実践行為として、潜在意識に落とし込み、智慧の経営を推し進めていくことで、達成することが可能になります。

さて、総資本売上総利益率は、売上総利益(粗利益)を総資本で割った数値に100を掛けます。

算式は、売上総利益(粗利益)/総資本(2期平均)×100=総資本売上利益率

上限値が63.6%(最も良い)、下限値が6.5%(最も悪い)です。

売上総利益とは、粗利益のことです。つまり、売上高から売上原価を差し引いた粗利益です。売上原価とは、建設業の場合、材料費、労務費、外注費、現場経費です。この現場経費の中には、現場で働く従業員の給料や社会保険料も入ります。

一つひとつの工事で、直接的に稼いだ粗利益のことです。売上原価の中には、販売費及び一般管理費は入りません。まさに粗利益です。

この粗利益を総資本で割っています。総資本とは、会社全体の現金預金から固定資産まで含めた財産全部の金額です。会社の全財産を使って、どれだけ粗利益を稼いだかを表す指標です。例えば、全財産1,000万円で粗利益100万円を稼ぐ会社と、全財産5,000万円で粗利益100万円を稼ぐ会社と比較したら、前者の会社が優秀ですね。つまり小さい資本で、多く稼いでいるわけです。1億円の総資本があっても100万円しか稼ぐことができないのならば、この総資本売上総利益率は、低い数値になり、評点は下がります。小さい資本で大きく稼ぐ、小さい資本で多く稼ぐ会社が、この指標をアップさせます。

 

2.対策

○ 粗利益を増加させる方法

① 積算名人を育てる、確保すること。

② 役所と予算交渉が出来る人材の確保。

③ 売上高に占める売上原価(完成工事原価)の割合を低くすること。つまり、材料費、労務費、外注費、現場経費の削減に尽きます。

④ 積算を行う時に、図面の拾い間違いなどをなくし、売上単価を不当に下げないようにします。

⑤ 施工に際しては、実行予算を組み、適正な粗利益が確保できること。

⑥ 実行予算に応じ、材料費、労務費、外注費、現場経費の支出が合理的に行われるように管理します。

⑦ 材料の重複仕入や過重仕入を行って、結果として原価を高めることのないようにしてください。持越し在庫を使用するようにすれば、売上高に占める材料費の割合が低くなり、その分売上総利益が増えます。

⑧ 工程管理を徹底し、ムダな人員の投入や手持ち工事をなくします。

⑨ 人材のダム経営と資金のダム経営に尽きます。

 

○ 総資本(総資産)を減少させる方法

① 定期や積立などの固定預金を取り崩し、借入金等の支払に充てます。

② 投資有価証券や土地など経営活動に利用されていない遊休資産を売却した資金で、借金等の支払に充てることで、負債(総資本の一部)を減らすことができます。経営に寄与しない遊休資産を減らし、身軽になり、無借金経営を目指してください。その上の「ダム経営」を実践なさってください。経営に寄与しない無駄な資産を無くし、シンプルな財務内容にしましょう。経営に寄与しない人材もシンプルにすることが大事です。人材のダム経営です。これもダム経営の一つです。ダム経営は、トップページを参照。松下幸之助氏の写真がある記事です。積算名人を育てましょう。