1.概要

経常利益とは、本業の建設業から得た営業利益に、財務活動の受取利息や支払利息を加減した後の利益になります。会社の損益計算書には、必ずこの経常利益が載っています。

銀行や投資家が、会社の良否を判断するうえで最も重視しています。この数値が高い会社ほど、好ましい収益を上げていることになります。社長の目が光る経常利益でもあります。

この指標は、収益性を表します。売上高と比べていますので、売上収益性と呼びます。資本と比べる場合は、資本収益性と呼びます。先に掲げた「総資本売上総利益率」がその指標で、経審の重要な指標の一つです。この指標の寄与度は21.4%もありますが、売上高経常利益率の寄与度は5.7%です。今の経営分析は、資本収益性にウェイトを置いていますが、売上高経常利益率も重要な指標の一つです。経営分析全体の寄与度は5.7%ですが、会社の売上収益性を判断するには、この指標を無視することは出来ません。建設業は資金の余剰が命です。売上収益性が低ければ、利益余剰金が残ってきません。その結果、資金の余剰も積み上げていくことが出来ません。

儲かる経営の中で、『お金は天下の回りもの(利益と納税についての考え方)』という記事にも述べましたが、納税意識も大事なことで、税金を払わないと利益余剰金が残りません。その抜粋です。

「税金が払える」というのは、「少なくとも税金に倍するぐらいの利益がある」ということを意味しています。そもそも利益がなければ税金は払えません。

税金を払わなくても済むようにするため、赤字にも黒字にもならないスレスレのところを狙って経営する人も多くいますが、それは結局において、無駄な経費を使ったり、無駄な投資をしたりしているにすぎないことがよくあります。節税に夢中になっていると、放漫経営に陥るおそれがあることを知ってください。

「稼ぐに追いつく貧乏なし」と言われますが、毎年毎年、会社として利益をあげていくことを優先させるべきです。利益以上の税金はありえません。税金は利益の半分程度なのですから(現在は3、4割程度)、むしろ、「自分の会社も税金を納められる身分になりたい」と考えるべきです。

また、毎年毎年、納税額が増えていくことは、同時に、利益が増えていくことも意味しています。違法なことでもしないかぎり、納税をせずに利益を蓄積できた会社はないのです。納税額が増えていくことは、同時に、内部留保が増えていくことでもあります。この点を無視してはいけません。

さて、売上高経常利益率ですが、算式は、経常利益/売上高×100です。

上限値5.1%(最も良い)、下限値-8.5%(最も悪い)になっています。

売上高の5.1%の経常利益を上げれば、最高値になります。粗利益が5.1%ではありません。経常利益が5.1%です。人件費を含めたすべての経費に支払利息も含めて回収でき、まだ売上高の5.1%も利益があるということですから、かなり利益性の高い会社になります。経常利益5%以上を目指せ!

 

2.対策

この指標を上げるには、経常利益が多く上がるように努力することです。当り前のことでが、質のよい完成工事高を多くする。完成工事原価の割合を低くする。販売費及び一般管理費の総額を少なくする。営業外費用を少なくすることです。それぞれ検討していきます。

⑴ 質のよい完成工事高を多くする

① 積算名人を育てること、積算名人を確保すること。

② 赤字の出る工事は受注しないこと。

③ 無理な値引要求に応じない。こういう姿勢を保つことが非常に大事です。このためには、平素から自社の原価管理を徹底させ、値引に応じられる請負高の限度を知っておく必要があります。

④ 利益が薄い工事でも、合理的な実行予算を組んで原価管理を徹底してください。その結果、質のよい完成工事高に転換できます。

⑤ 工程管理を徹底して、工期を短縮するこで、人件費や外注費の削減が可能になり、結果として質のよい完成工事高になります。工期短縮に徹する。

⑥ 自社の特長を伸ばし、他社との差別化を図る努力を続けることです。

 

⑵ 完成工事原価の割合を低くする方法

① 外注工事は、複数の業者から見積りをとって、外注費を抑えてください。

② 材料は、まず在庫を調べて、手持在庫から使用するようにします。また、適量だけ仕入、規格間違いなどの不要な仕入をしないこと。

③ 配置する人員にムダがないこと。平素から職業訓練を施すことにより、職人の施工能力を高め、少数精鋭主義に徹すること。

 

⑶ 販売費及び一般管理費の額を少なくする方法

① 経営活動に絶対的に必要な費用を残し、相対的な費用(無くても経営が続けられるもの)を削るようにしてください。

② 人件費は経費に占める割合が高く、固定費の性格が強いため収益を圧迫します。無駄な余剰人員がいないか、また賃金は、温情にとらわれ不合理な方法で決定されるなど、全体として割高になっていないか検討します。改善点があれば、早急に改め削減に努めてください。

③ 予算制度がない会社は、機器の購入や経費の支出が必要かどうか、観念的に判断されます。これでは必要性の根拠がなく、支出に歯止めが利かなくなります。このため、予算管理制度を導入し、購入根拠を予算に計上されているかで判断すれば、費用が大幅に削減できます。この効果を考え、予算管理制度により費用を合理的にコントロールしてください。

 

⑷ 営業外費用を少なくする方法

営業外費用の大部分は、支払利息です。利息を減らすことに最大の努力をしてください。この方法については、『純支払利息比率』で述べたとおりです。純支払利息比率の寄与度は29.9%もあり、経営分析の指標の3割も占めます。一番大事な指標です。

無借金経営の実践、ひいてはダム経営を目指し、日々の実践行為として、潜在意識に植え付けてください。断断固、ダム経営の実践あるのみ。余剰金のダム、人材のダム、人格のダムに尽きます。特に社長の人格形成は、最大のダム経営です。