◎ 株式会社の設立について

1.機関設計について

会社を設立する場合、機関設計を考える必要があります。

機関設計とは、取締役会を設置する会社にするか、監査役を置く会社にするか、という選択ができるわけです。一番シンプルな機関設計が代表取締役一人の会社です。

建設業を営む場合は、次なる「経営管理責任者」を育てる意味でも、取締役は最低二人ほしいところです。

 

2.取締役会設置法人にしない

取締役会を設置する場合は、最低三名以上の取締役が必要になります。会社を設立する時に、最初から「取締役会」を定める会社を作ることも可能ですが、スタート時は、取締役会を定めない会社をお勧めします。その理由は、一旦、「取締役会設置法人」にしますと、常時三人以上の取締役が必要であり、退任や辞任で欠員が出た場合に補充しなければなりません。もし、その補充候補がなくて取締役が二名になった時に、「取締役会設置法人」を廃止しなければなりません。その時に余分に印紙代3万円がかかります。通常の取締役の変更なら1万円で済むところ、取締役会設置法人の廃止3万円+1万円=4万円かかることになります。

それならば最初から取締役設置法人にしなくて、会社を設立したほうが良いと考えます。また、取締役会設置法人にしなくても、取締役を三名でも五名でも出来ます。

また、会社法で定める取締役会を開く必要もありません。社長が自由奔放に経営できる会社が、中小零細企業には望ましいと思います。

 

3.監査役設置法人にしない

会社設立する時に、監査役を置いても、置かなくても自由です。監査役も取締役会設置法人と同じで、一旦、監査役を置いて「監査役設置法人」で設立しましすと、それを廃止する時に3万円の印紙代が余分にかかりますので、あまりお勧めではありません。

 

4.お勧めプラン

取締役二名か三名の会社設立がお勧めです。取締役二名は最低必要です。建設業の場合は、次なる「経営管理責任者」を育てる意味でも、取締役は最低二名か三名ほしいところです。

 

5.資本金をいくらにすれば良いか

会社法では、1万円でも会社は設立することが出来ます。しかし、建設業許可の申請時に500万円以上の財産要件が必要になりますので、会社の資本金は500万円以上1,000万円未満にしてください。

資本金1,000万円未満の新設会社は、消費税の関係で、原則設立1期目は消費税が免税になります。

 

6.決算月について

消費税のことも考えて、設立1期目は7ヶ月未満になるような、決算月を設定なさってください。法人設立日が平成28年12月1日なら、平成29年6月末決算がマックスになります。

 

 

◎ 消費税について

新設法人で資本金が1,000万円未満の会社が、設立2期分の消費税を免除する規定は、平成23年度の改正(25年施行)でなくなりました。原則1期目は、消費税が免除されます。

1.2期目も消費税が免除となる条件

2期目に関しては、資本金1,000万円未満かつ以下の条件のいずれかを満たす場合にのみ消費税が免除になります。以下の特定期間とは、個人事業主の場合は1月1日から6月30日、法人の場合は事業開始日から6ヶ月を指します

 

① 特定期間の課税売上高が1,000万円以下の場合

特定期間の売上高が1,000万円以下の場合は、2期目も免税の対象となります。もし上半期の売上高が1,000万円を超える場合は、下期に動かせる売上がないか確認してみましょう。

 

② 特定期間の給与等支払額の合計額が1,000万円以下の場合

給与が1,000万円以下の場合でも、免税の要件を満たします。売上を調整するのは難しいかもしれませんが、給与の調整によって1,000万円以下にできる場合は多くあります。

 

③ 設立1期目が7ヶ月以下の場合

特定期間に、売上が1,000万円および給与支払額が1,000万円を上回る規模の大きな会社を作る場合は、会社を設立する時期を工夫しましょう。

建設業の場合、特定期間の売上1,000万円はすぐに超えてしまいますので、設立1期目を7ヶ月以下することをお勧めします。

法人の場合、設立した1期目が7ヶ月以下ならば、特定期間の条件に該当しないため、上の二つの要件を満たさなくてもよいことになります。つまり、1期目が7ヶ月以下になるように設立日を調整することで、売上高や給与支払額に関係なく、2期目の消費税が免除されます。ただし、この方法を使う場合は、まるまる2年間免税ではなく、最高で1年7ヶ月の免税になります。

 

④ お勧めのプラン

建設業の場合、売上高がすぐに1,0000万円を超えてしまいますので、設立1期目を7ヶ月以下になるように、決算月を調整します。

例えば、平成28年12月1日に法人設立する場合、1期目の決算月は平成29年6月30日にするか、5月31日するかで、2期目も消費税が免除になります。

 

 

◎ 社会保険・雇用保険に加入のこと

すでにご存じのことと思いますが、兵庫県と奈良県では、法人の場合、社会保険に加入しないと、建設業許可の申請ができません。大阪府の場合は、まだ流動的に取り扱っていますが、いずれ社会保険に加入しないと建設業の許可申請ができなくなります。

社会保険を超える会社、税金を超える会社を目指してください。

 

 

◎ 建設業の事務所について

建設業の事務所は、経営管理者や専任技術者が常駐している場所であり、見積りや注文書、請負契約を交わす場所ですので、重要な許可要件になります。

主たる事務所の確認が出来なくて、許可の取消しになっている建設業者が増えています。

 

◎ 日本政策金融公庫の創業融資を生かす方法

日本政策金融公庫の創業融資を受けることができます。

新しい事務所の保証金や建設機械などの設備資金は、利用しやすいです。実績をつける意味でも500万円から2,000万円以内(支店長決済の範囲)の創業融資を考えてみるのも、資金計画の一つです。代表者の連帯保証人だけでいけると思いますし、退職金に手をつけることなく、建設業経営を進めることができます。

もっとも、ダム経営や無借金経営を貫く経営方針なら、それはそれで、すばらしいと思いますが、創業融資を考えてみるのも一つかと思います。