朝日新聞社から「司法改革(日弁連の長く困難なたたかい)」が出版された。弁護士の大川真郎先生が書かれた書物である。大川先生は、元・日弁連の事務総長で、司法改革に大きく関わってこられた第一人者である。その「司法改革」を頂戴した。

私とのお付き合いは30年以上にもなるが、弁護士としてもすばらしい先生であるが、人物においても尊敬できる方である。文章が上手い。論理明快である。私など足元に及ばない立派な先生であるが、気さくなところもある。

今は、実施が予定されている裁判員制度の日弁連責任者として、この制度の実施にかかわる諸課題の解決や関係者との折衝を続けていらっしゃる。また、立命館大学法科大学院で、司法制度論、法曹倫理、労働法などの講座を持たれ、弁護士としての豊富な知識と経験を活かされ、次代を担う法学生に熱弁をふるわれている。もちろん、普段は北区の事務所で、弁護士業務にもお忙しい日々を送られている。

この「司法改革」は、日弁連の立場から書かれていて、司法改革のすべてを物語るものではないが、すでに実施されている日本司法支援センター(法テラス)、法科大学院制度、2年後の裁判員制度など、日弁連がどのように司法改革に関わってきたかがよく理解できる。事実に基づいて書かれている。

近年のわが国の改革は、政治改革、行政改革、税制改革など、すべて政府が進めた改革である。そのなかで「司法改革」だけは、日弁連という民間組織が初めて提唱し、行動に立ち上がった改革である。日弁連が、司法の分野で、「官」に先駆けて改革の主導権をとろうとしたといってもよい。