今、安倍政権の向かっている方向には、よいところもあるのですが、経済的な面においては、どちらかといえば、「大きな政府」を目指しています。

したがって、「あちこちで会社がたくさん潰れたあと、失業者たちに社会福祉のような保障をする」ということを考えたり、「老後の生活が立たない人たちを、どうやって社会保障的に救うか」ということを考えたりする傾向が非常に強く出ています。

しかし、これの行き着く先、次の段階は「北欧型の社会」であり、「やる気はないけれども、何となく天国的に生きているような気持ちになっている、発展感のない社会」ができる可能性は極めて高いと言えます。

特に、この二十年間、日本の経済成長は止まっているので、そのような社会に移行する可能性が極めて高いのです。

そのような、「失業者をたくさん出し、政府が、お金のたくさんあるところから税金を集め、それを再分配して、働かない人たちにお金をたくさん出し、面倒を見てあげたり、病院に行かせてあげたりするような社会が、理想的な社会だ」という考え方を持つのは危険です。そのことを知っていただきたいと思います。これは危険なのです。

そうではなくて、やはり、それぞれが事業や会社を起こし、その会社で黒字を出して会社を発展させていき、雇用を生んで、新しい人を採用でき、その人と家族が生活できるようにしていかなくてはなりません。

会社が黒字を出すようにし、経営を発展させ、いろいろな人たちを養っていけて、その人の家庭がうまく回っていけるようにしていくことが大事です。

そうすれば、政府から、「税金を集めて、ばら撒く」というスタイルの仕事が減っていくはずです。

企業が黒字を出して発展し、新しい雇用を生むこと、要するに「失業者を採用する」ことが大事なのです。

今、高校や大学の卒業生たちが、なかなか就職できないでいます。あるいは、「途中で失業したりして、ネットカフェ難民となり、母も娘もネットカフェで寝泊まりをしている」という家族のことを、NHKがテレビ番組で流したりしていますが、それを何とかするのが社会の義務であるかのように言いすぎるのは、問題です。

要するに、「そちらのほうに税金をつぎ込め」と言っているのだと思われますが、そういうやり方をするのではなく、雇用を生める企業を育てなくてはいけないのです。その意味では、「黒字を出し、発展している企業、勢いのよい企業が出ることは、社会の救いになるのだ」と思わなくてはいけません。

「職がない、あぶれた人たちを、どうするか」という観点もあるかもしれませんが、逆に、プラスの部分を強く出していくことで、そういうものを消していくことが必要です。