1.結論

 結論から述べますと、親会社、金融機関及び代表者等から確実に融資が受けられるなら、許可更新は可能です。当然にその関係資料が求められます。

 

2.公示基準に規定

 貸切バスの許可更新時に、直前決算が債務超過であり、かつ、直近3事業年度の収支が連続で赤字である場合には、原則として更新許可ができません。

 但し、「親会社、金融機関、及び代表者等からの融資が確実に得られること等、事業継続のための支援を受けることが客観的に説明される場合にはこの限りではない」と、審査基準に明確に規定されています。

 審査基準とは「一般貸切旅客自動車運送事業の許可等に関する審査基準について」の公示を指します。つまり、融資を受けられる確実なエビデンスが許可更新時に求められるということです。

 

3.運輸局の取扱い(融資金額)

 この場合の融資金額までは、公示基準には規定されていません。この融資金額については、各運輸局の内部取扱いで定めています。近畿運輸局の取扱いでは、直前決算の債務超過額の金額以上の融資金額と、直前3期分の赤字決算の平均金額以上の融資金額と比較して、いずれか低い金額以上の融資金額としています。

 例えば、直前決算の債務超過額が5,000万円とします。直前3期分の赤字金額が6,000万円の場合、その平均赤字額は1/3ですから2,000万円になります。債務超過額5,000万円と、平均赤字額2,000万円の低い金額ですから、2,000万円以上の融資を親会社等から確実に受けられる資料があれば良いわけです。

 ちなみに債務超過とは、会社が抱えている負債の総額が、資産の総額を超えている財務状況を指します。例えば、資産総額が15,000万円で、負債総額が20,000万円なら、差引5,000万円の債務超過になります。貸借対照表の「資産の部合計」から「負債の部合計」を引くと、マイナスになれば債務超過の状態です。つまり、負債総額が資産総額より大きい場合が債務超過です。