サミュエル・スマイルズ著「自助論(三笠書房)竹内均氏の訳」の中に「金の知恵」という章があります。その一つに「知恵はルビーにまさる」というタイトルで、お金に関する世界各国に伝わる多くの諺が紹介されています。長くなりますが、引用させていただきます。
「小銭に気をくばれば大金はおのずと貯まる」
「勤勉は幸福の母」
「労苦なければ益もなし」
「楽をするには汗をかけ」
「働き者に福がくる」
「浮世はがまんと努力しだい」
「借金を背負って起きるより、晩めし抜きで寝たほうがまし」
これらの諺は、太古の昔から口伝えに伝えられ、民衆の道徳律とされ、長い歴史の試練を経ているので、今日でもその正しさは少しも薄れていないと表現されています。
また、ソロモンの「金の使い道」についても紹介されています。
「無精者は浪費家の兄弟である」
「怠け者よ、アリのところへ行け。そしてそのやり方から知恵を学べ」
「貧困は旅人のように怠け者を訪れ、欠乏は兵士のような怠け者を襲う」
「正直者の勤勉な手は富をつくり出す」
「暴飲暴食は貧困につながり、惰眠は人にボロをまとわせる」
「仕事熱心な者を見よ。彼は王の前に立つであろう」
次の言葉を最後に、知恵の重要さを述べています。
「黄金よりも知恵を求めよ。知恵はルビーにまさる。この世に望み得るすべてでさえ、知恵には比ぶべくもない」
また、違う章では、節約は心のゆとりを生み、それが気前のよさとなって現れる。この意味で「節約は思慮分別の娘であり、節制の姉、そして自由の母である」と表現され、「節約とは、自助の精神の最高の表現に他ならない」と結んでいます。
お金儲けの秘訣を説いた書物は、数限りなく出版されています。中には参考になる書物もありますが、やはり、お金に関する考え方や捉え方は、今も昔も変わっていません。勤勉と倹約がお金を貯めていく基本です。
この勤勉と倹約の克己心がなせる業だと思います。この克己心こそがお金を貯めていく最大の力を発揮します。金額の大小に関わらず、ここで鍛え上げた克己心は、世間の信用を生み、自分自身の安心感が膨らみます。勤勉と倹約の重要なポイントがここにあります。