1.一般貨物運送事業者における車両の貸し渡し

 一般貨物運送事業の許可を持つ運送会社が、自社の緑ナンバーの車両を一般貨物運送事業の許可を持っていない会社に貸渡すことは、法令違反になります。

 例えば、A社(一般貨物運送事業の許可業者)が、B社(一般貨物運送事業の許可業者でない)に、A社の緑ナンバーの車両を貸渡す行為は、法令違反になります。

 この場合の根拠条文は「貨物自動車運送事業法」の第27条(名義の利用等の禁止)が該当します。第27条の条文そのものには、車両の貸し渡しの文言は記載されていませんが、車両の貸し渡しも含むと解釈されています。近畿運輸局で確認済みです。

 条文は下記のとおりです。

 貨物自動車運送事業法

(名義の利用等の禁止)

第二十七条 一般貨物自動車運送事業者は、その名義を他人に一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業のため利用させてはならない。

2 一般貨物自動車運送事業者は、事業の貸渡しその他いかなる方法をもってするかを問わず、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を他人にその名において経営させてはならない。

 もともと、一般貨物運送事業者は、自社の車両で他人の貨物を運ぶことが前提とされていますので、その車を一般貨物運送の許可を持たない他社へ貸渡すこと自体が想定されていません。名義を他人に利用させてはならない。自社のドライバー以外に貸すなということです。

 もっとも、一般貨物運送の許可を持っている他社への貸し渡しは、別の通達で可能です。「貨物自動車運送事業の用に供する事業用自動車の相互使用について」が示されています。その場合には、貸し渡した車両に「相互使用車両」の表示をすることが義務付けされています。

 

2.産廃の収集運搬業者への貸し渡し

 一般貨物運送事業者の許可だけでは、産業廃棄物は運送できません。産業廃棄物の収集運搬業の許可も必要になります。一般貨物運送事業者は、産業廃棄物以外の貨物(電化製品、家具、木材等々)は運ぶことはできますが、産業廃棄物は運ぶことはできません。一般貨物運送事業者が産業廃棄物も運ぶ場合は、「産業廃棄物の収集運搬業」の許可が必要になります。

 ここで注意しなければならないことは、一般貨物運送事業者が、自社の緑ナンバーの車両を他社(貨物運送の許可を持たない、産廃の収集運搬業者)へ貸し渡し行為も、当然に法律違反になります。貨物自動車運送事業法で違反行為になります。

 

3.名義貸しの罰則

 貨物自動車運送事業法の第70条で、以下のように定められています。

「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」。

 

4.名義を借りた側の罰則

 名義を借りた側にも罰則があります。

「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」。

 借りた側は無許可営業としての罰則です。この罰則を受けてしまうと欠格事由に該当するため、5年間は貨物運送事業の新規許可取得ができません。