1.基本的な考え方

 この事業概況報告書は、あくまでも一般貨物運送に係る報告書ですから、兼業事業である軽運送の売上高や、全く異なる建設業等の売上高も、この報告書には記載する必要はありません。

 したがって、添付書類として提出する損益計算書の数字と異なっていても何ら問題ありません。一般貨物運送に係る部分だけを記載するだけです。軽運送などの兼業事業がない運送会社の場合は、比較的簡単に決算書から記載ができますが、兼業事業がある場合は、兼業事業部分は外す必要があります。

 

2.運送収入について(原則)

⑴ 貨物運賃

 貨物の運賃、品目割増、特大品割増、特殊車両割増、悪路割増、冬季割増、休日割増、深夜・早朝割増等を含む。

⑵ その他

 ① 集配料、地区割増料、車両留置料、道路使用料その他諸料金、荷役料

  その他運送に関して求められるサービスに対する実費

 ② 利用運送の運送収入は、この欄に記載します。

⑶ 運送雑収

 ① 品代金取立料、貨物引換証発行料、着払い手数料等諸手数料、事業用

  自動車を使用して他人の広告を行った場合の広告料収入等

 ② 運送事業に付帯する事業で、売り上げが立つ場合は「運送雑収」に記

  載します。例えば、保管料、仕分け料など。

 

3.例外的な書き方

 運送収入についての書き方の原則は、上記のとおりです。

 例外として、運賃、保管、仕分け等を一括して依頼されて、各項目の金額が算定困難な場合は、一定のパーセントで計上しても差し支えないとの回答を近畿運輸局からいだきました。

 但し、100%保管だけとか、100%仕分けだけの場合は、運送事業に該当しませんので、売上高から除いてくださいとの回答でした。

 1の基本的な書き方で説明しましたように、添付する損益計算書の金額と一致しなくても良いと考えます。

 また、他の事業と関連する収益と費用については、「貨物自動車運送事業に係る収益及び費用並びに固定資産の配分基準について」が示されています。簡単に言えば、科目ごとに一定の基準を用いて配分していくということです。

 この点に関して、矛盾する点があります。他の事業と関連する収益と費用についての詳細が示されていますが、収益に関しては「営業外収益」だけです。兼業事業がある場合は、どうするのでしょうか。疑問が残ります。

 

4.矛盾点

 最大の矛盾点は、兼業事業がある場合は、この報告書から除いてくださいと言っておきながら、経費に関しては、他の事業として按分してくださいと言っている点です。要するに兼業事業の営業収益の記載する欄がないからです。

 したがって、兼業事業の売上高も除くなら、兼業事業の経費も除く必要があり、矛盾します。営業収益欄に「兼業事業」の営業収益欄を追加くださったなら、筋がとおり矛盾点が解消すると思いますが、いかがでしょうか。

 この件で、近畿運輸局に質問しましたら、兼業事業に関しては、収入も経費も除いて、報告してくださいと回答を得ました。