1.答え

可能である。

神戸臨港地区内で構築物の規制を設けている「神戸港の臨港地区内の分区における構築物の規制に関する条例(平成5年10月5日条例第28号)」は、前提条件として、メインの業務は何かで、構築物に規制をかけている。ゆえに、貨物運送事業のメインは、車両の保管場所がメインになり、運送事業の事務所や休憩施設は附帯設備になり、この条例には抵触しない。

 

2.根拠条文など

⑴ 一般貨物自動車運送事業の許可申請事案の処理について(公示)

この公示の中で、営業所と車庫について、農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令に抵触しないことと規定している。したがって、港湾法や「神戸港の臨港地区内の分区における構築物の規制に関する条例」も関係してくる。

 

⑵ 港湾法

まず、港湾法39条の規定を受け、港湾管理者は、臨港都区内において「商港区」ほか何種類かの分区を指定することができる。神戸港臨港地区内では、①商港区、②工業港区、③マリーナ港区、④修景厚生港区の4つの分区を指定している。

次に、港湾法40条では、39条に掲げる分区の区域内においては、各分区の目的を著しく阻害する建築物その他の構築物を、港湾管理者(地方公共団体)の条例で定めるものを建設してはならずと規定している。

 

⑶ 神戸港の臨港地区内の分区における構築物の規制に関する条例

上記の港湾法40条の規定を受けて、神戸市では「神戸港の臨港地区内の分区における構築物の規制に関する条例(平成5年10月5日条例第28号)」を設けている。

この条例3条で禁止構築物を次のように規定している。

(禁止構築物)

第3条 港湾法第40条第1項に規定する条例で定める構築物は、次の各号に掲げる分区の区分に応じ、当該各号に定める構築物以外の構築物とする。ただし、市長が公益上やむを得ないと認めて許可した構築物を除く。

⑴ 商港区・・・・・・・・・別表1に掲げる構築物

⑵ 工業港区・・・・・・・・別表2に掲げる構築物

⑶ マリーナ港区・・・・・・別表3に掲げる構築物

⑷ 修景厚生港区・・・・・・別表4に掲げる構築物

 

つまり、各分区に掲げる構築物以外の構築物を建設してはならないということである。

しかし、この条例は上述したように、メインの業務が何かで規制をかけているので、貨物運送事業は、車両の保管がメイン事業になり、港湾法2条4項8号の「保管施設」に該当し、この条例に抵触しない。事務所や休憩施設は附帯施設になり、この条例の規制を受けない。

もっとも、都市計画法や建築基準法に抵触しないことは、言うまでもない。