Ⅰ 施工方式による区分

施工方式による区分として、共同施工方式(甲型共同企業体)と分担施工方式(乙型共同企業体)がある。

 

1.共同施工方式

共同施工方式とは、各構成員があらかじめ定めた出資割合に応じて資金、人員、機械等を拠出して工事を施工する方式である。

共同施工方式では、共同企業体協定書において各構成員の出資割合を次のように取り決めておく必要がある。

(構成員の出資の割合)

第8条 各構成員の出資の割合は、次のとおりとする。

〇〇建設株式会社  60%

△△建設株式会社  40%

出資比率は、共同企業体運営のための財産的基礎を各構成員間で分担する割合であり、工事の施工より生じる利益の配分割合となるものである。したがって、出資比率は、技術者を適正に配置し共同施工を確保できるようにするもので、適正なものでなければならない。そのため、出資比率の最低の基準が次のとおり決められている。(「共同企業体運用準則」参照)

2社の場合 30% ・ 3社の場合 20%

 

2.分担施工方式

分担施工方式とは、共同企業体として請け負った工事を工事場所別等に分担して施工する方式である。

分担施工方式では、共同企業体協定書において次のように各構成員の分担工事額を取り決めておく。各構成員は工事全体に対して連帯責任を負うことについては共同施工方式と変わらない。

(分担工事額)

第8条 各構成員の建設工事の分担は、次のとおりとする。

A建築工事  〇〇建設株式会社

B土木工事  △△建設株式会社

 

 

Ⅱ 結成時期による区分

結成時期による区分として、特定建設工事共同企業体(以下、特定JVという)と経常建設共同企業体(以下、経常JVという)がある。

昭和62年8月中央建設業審議会は、JVをその活用目的別に2方式に決め、発注機関がこれらの方式を必要に応じて選択することにした。(「共同企業体の在り方について」昭和62年8月中央建設業審議会答申)

 

1.特定JV

特定JVとは、大規模かつ技術的難易度の高い工事の施工に際して、技術力等を結集することにより工事の安定的施工を確保する場合等、工事の規模、性格等に照らし、JVによる施工が必要と認められる場合に工事毎に結成されるJVをいう。このJVは、いわゆる一発型JVとも呼ばれ、一般的には、大規模かつ技術的難易度の高い工事の施工に活用される。

 

2.経常JV

中小建設業者にとっては、これらの共同企業体に参加するのは、規模的、技術的に難しいため、これに代わる方式として中小建設業者が、継続的な協業関係を確保することにより経営力・施工能力を強化する目的で結成されるものとして設けられた。これが経常JVである。この経常JVは、中小建設業者が単独で受注することができないほどの上級の工事における施工の機会を開き、中小建設業者の育成、振興を図ろうとするものである。

[入門] 建設業会計の基礎知識からの引用