1.概要

 役員賞与は、原則として法人の損金(経費)になりません。なぜなら、法人の利益操作につながるからです。つまり、決算日の間近でも法人の利益を少なくできます。

 しかし、事前に役員賞与額を株主総会で決定して、事前に税務署に届出をすれば、代表者の役員賞与も損金算入ができます。この制度のことを「事前確定届出給与」といいます。

 

2.提出期限に注意

 この制度を利用する時に注意すべきことは、税務署への提出期限をしっかりと把握しておくことです。ここが重要なポイントです。

 事業年度がスタートして、半年後や決算間近になってからでは、この制度は利用できません。つまり、事前対策を練る必要があります。

 「事前確定届出給与」の提出期限は、次のように定めています。

 

 

通常の場合(1~3)のうち一番早い日が提出期限です。

1

事前確定届出給与を定めた定時株主総会等から1ヶ月を経過する日

2

その役員が職務執行を開始する日から1ヶ月を経過する日

3

その事業年度開始の日から4ヶ月を経過する日

 

 例えば、7月31日決算の法人で9月20日に定時株主総会を開催して役員を選任し、同日の9月20日の取締役会で役員賞与の額を決めたとします。

 1.9月20日 → 10月20日(定時株主総会の開催日)※職務執行を開始する日

 2.9月20日 → 10月20日(取締役会の開催日)※役員賞与の決定日

 3.8月 1日 → 11月30日(事業年度の開始の日から4ヶ月を経過する日)

 

 一番早い日は10月20日となり「事前確定届出給与」の提出期限は10月20日です。

 つまり、前期決算の定時株主総会で、次期の売上高や利益高の予想を立て、確実な役員賞与を決めるということです。事業年度の開始とほぼ同時に、今期の利益計画を決定し、役員報酬や役員賞与を決定しないと、提出期限に間に合いません。

 例えば、7月決算の会社なら、9月20日前後に定時総会を開催し、今期の利益計画を練り、役員賞与を決めて、10月20前後までに、税務署に届出をするということです。

 何ごともそうですが、事前対策が必要です。節税対策も同様です。