毎月の掛金は、1,000円から70,000円まで、500円きざみで自由に選択でき、加入後の増額も減額もできます。加入者は、掛金の範囲内で借入を行うこともできます。金融機関等で取り扱っています。加入資格は、建設業の場合は、常時使用する従業員の数が20以下の個人事業主か法人の役員です。

 例えば、毎月7万円の掛金で年間で84万円のお金が貯まり、約3ヶ月分の掛金21万円程度の税金が安くなります。扶養親族が2人以上いる勘定になります。20年で掛金が1,680万円になり、20年の節税分420万円を足すと、2,100万円になります。

 それでは、個人事業主の場合を想定して、話を進めていきます。

 

1.共済金等の種類

  共済金等の種類は、共済金A、共済金B、準共済金、解約手当金の4種類があります。

 

⑴ 共済金Aとは

 個人事業を廃業した場合に支払われる共済金です。複数の事業を営んでいる場合は、すべての事業を廃止したことが条件です。または、共済契約者の方が亡くなられた場合に支払われる共済金です。

 平成28年3月以前に、配偶者または子へ事業の全部を譲渡したことにより廃業した場合は「準共済金」となります。

 

⑵ 共済金Bとは

 老齢給付です。65歳以上で180か月(15年)以上掛金を払い込んだ方が対象です。お仕事を続けたまま、共済金を請求できます。

 

⑶ 準共済金とは

 個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなった場合

 平成22年12月以前に加入した個人事業主が、全額金銭出資により法人成りをしたときは、左記に該当する場合でも「共済金A」となります。

 または、平成28年3月以前に、配偶者または子へ事業の全部を譲渡した場合に該当します。

 

⑷ 解約手当金

 ① 任意解約

   共済契約者による任意の解約です。

 ② 機構解約

   掛金を12か月以上滞納した場合に、中小機構が行う解約です。

 ③ 個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をした場合

   平成22年12月以前に加入した個人事業主が、全額金銭出資により法人成りをしたと

  きは、左記に該当する場合でも「共済金A」となります。

 

2.共済金等の額

⑴ 共済金A・B、準共済金

 ※掛金月額1万円で加入した場合

掛金年数

掛金合計

共済金A

共済金B

準共済金

5年

600,000

621,400

614,600

600,000

10年

1,200,000

1,290,600

1,260,800

1,200,000

15年

1,800,000

2,011,000

1,940,400

1,800,000

20年

2,400,000

2,786,400

2,658,800

2,419,500

 

 

 

 

⑵ 解約手当金

 ※掛金月額1万円で加入した場合(単純に解約損を計算)

掛金年数

掛金合計

解約手当金

解約損

戻り率

5年

600,000

480,000

120,000

80%

10年

1,200,000

1,020,000

180,000

85%

15年

1,800,000

1,665,000

135,000

92.5%

20年

2,400,000

2,400,000

0

100%

 

3.小規模共済のメリット

 確かに上記⑵解約手当金を見ると、掛金そのものに解約損が発生し、20年以上続けないとい100%戻ってきません。しかし、小規模共済のメリットは、国税と住民税が安くなるという点も考慮に入れて考えてください。通常、掛金の3ヶ月分の税金が安くなります。

 

 ※掛金月額1万円で加入した場合(税金の戻りを考慮した場合)

年数

掛金合計

解約手当

解約損

戻り率

税金部分

実質益

5年

600,000

480,000

120,000

80%

150,000

30,000

10年

1,200,000

1,020,000

180,000

85%

300,000

120,000

15年

1,800,000

1,665,000

135,000

92.5%

450,000

315,000

20年

2,400,000

2,400,000

0

100%

600,000

600,000

 

4.結論(共済金の考え方)

 個人事業の場合は、共済金Aと共済金Bが対象になります。

 共済金Aの場合も、共済金Bの場合も、解約損はありません。

 

⑴ 共済金Aの場合

 共済金Aが、戻り率が一番高いです。共済金Aは、個人事業の廃業か死亡の場合に支払われる共済金です。上記の表のとおりです。

 例えば、62歳で小規模共済に加入し、毎月1万円の掛金とします。仮に10年後の72歳で廃業した時には、掛金の総額は1,200,000円で、共済金Aは1,290,600円になります。また、その10年間の税金が30万円安くなります。実質、1,590,600円になります。

 

⑵ 共済金Bの場合

 共済金Bは、65歳以上で180か月(15年)以上掛金を払い込んだ方が対象です。お仕事を続けたまま、共済金を請求できます。

 例えば、62歳で小規模共済に加入し、毎月1万円の掛金とします。仮に15年後の77歳で共済金Bの対象になります。この場合の掛金の総額は1,800,000円で、共済金Bは1,940,400円になります。また、その15年間の税金が45万円安くなります。実質、2,390,400円になります。

 

⑶ 結論

 共済金Aは、個人事業の廃業か死亡ですので、5年後でも10年後でもOKです。

 共済金Bは、15年以上の掛金が必要です。

 いずれも、掛金の解約損は発生しませんし、その間の税金も安くなることを考えれば、お得だと考えます。

 廃業もせず、15年以内に任意解約しても、解約手当金自体の損失は発生しますが、税金が安くなった部分を考慮すれば、お勧めの制度です。

 20年以上続けていけば、任意解約の場合でも解約損はありません。