毎年の決算変更届に関連する条文は、建設業法の第11条、第18条及び第50条があります。第11条は、決算変更届の提出義務を定めた条文です。第18条は、決算変更届を期限内に提出されない場合に、個別指導や監督処分を定めた条文です。いわゆる「指示処分」「営業停止処分」「許可の取消し処分」が規定されています。この第18条は「できる規定」であり、行政側で決められます。

 例えば、決算変更届を期限内に提出しなかった場合には、法令違反に該当しますので、監督行政庁が建設業者に改善命令を出します。大阪府では、建設業許可グループから「決算変更届」に関する事項がHPに掲載されています。次のとおりです。

 

(大阪府のHP)

 決算変更届については、決算終了後4か月以内に大阪府に届け出なければなりません(建設業法第11条第2項)。決算変更届は、必ず毎年提出してください。期限内に提出されない場合には、個別に指導を行い、なお改善されなければ、建設業法に基づく監督処分を行うことがあります(建設業法第28条)。詳しくはこちらをご覧下さい決算変更届について(PDF:78KB)」とあります。

 

 このPDFで示されているのは、「決算変更届についての指示処分」であり、2枚あります。

 1枚目は、決算変更届の提出期限を遵守しない「建設業者の皆様へ」宛ての通知文で、初めて指示処分を受ける場合の様式になっています。

 

(1枚目の内容文)

建設業者の皆様へ

決算変更届等について

・決算変更届は、決算終了後4か月以内に知事に届け出なければなりません。(建設業法第11条)

・決算変更届は、必ず毎年提出してください。

・期限内に提出されない場合には、個別に指導を行い、なお改善されなければ、建設業法に基づく監督処分を行うことがあります。(建設業法第28条)

・また、経営業務の管理責任者等の変更があった場合には、各種変更届が必要です。

・決算変更届等が提出されないと、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる場合があります。(建設業法第50条)

 

 2枚目は、「決算変更届の提出について」というタイトルで、特定の建設業者への通知文です。少し厳しい内容になっています。次のとおりです。

 

(2枚目の内容文)

決算変更届の提出について

・貴事務所は、前回、複数年度分の決算変更届を同時に提出されていますが、その際に毎年度提出するようお願いしたところです。

・しかしながら、今回も複数年度分の決算変更届を同時に提出されました。

・決算変更届は、決算終了後4カ月以内に提出してください。

・更に複数年度分の決算変更届を同時提出することが続く場合には、建設業法に基づく監督処分を行うことがあります。(建設業法第28条)

 

 2枚目の通知文は、特定の建設業者への指示処分であり、いわゆる「イエローカード」と言えるでしょう。つまり、2回目の指示処分を受けたことを現わしています。

 

 大阪府では、上記のように決算変更届に関して、正式に通知文を出して法令順守を徹底されています。今は令和6年9月です。詳しい年月日を把握していませんが、少なくとも十数年前から実施されています。イエローカードのリストも管理されているようです。

 従来からも、建設業法を守るように指導されていましたが、特に平成29年1月から、その徹底ぶりは目を見張るものがあります。建設業法に定めていることですから、当然と言えば当然で、法律行為ですので遵守してくださいということです。別室に呼ばれて指導を受けます。現実に平成29年1月から呼ばれている業者がいます。

 大阪府は、従来から決算変更届の徹底化を図ってきました。つまり、段階的に指導方法を実施した経緯があり、最初は建設業法の趣旨を知らしめ、次に窓口指導が徹底され、平成29年1月からは別室に呼ぶ指導をスタートさせました。次には、この呼び出し指導が重なる業者には、罰則規定を執行するように窺えます。

 建設業者は、きちんと建設業法(法律)を守って、毎年、期限内に決算変更届を提出してください。