平成28年6月1日からスタートする執行役員の経管改正ですが、
執行役員のまま、経管になれます。つまり、取締役に就任しなくても、執行役員のままで経管になれます。
会社の謄本(履歴事項証明)に取締役として載っていなくても、執行役員のまま、建設業法でいうところの経営業務の管理責任者になることができますという改正です。

従来から、執行役員も経管の要件があれば、許可申請会社の取締役に就任することで経管になれました。執行役員は経管要件があっても、取締役に就任しないと、経管として認めてくれませんでした。
今回の改正は、経管要件は従来と同じですが、取締役に就任しなくても、執行役員のまま、経管になれます。ということです。

執行役員の経管要件は、役員の補佐経験(役員に準ずる地位)に変更はありませんが、会社法や商業登記法でいうところの取締役に就任にしなくても、執行役員の地位のまま、建設業法の経管になれることが、今回の改正で追加されたポイントです。

もちろん、一定の条件が必要です。
国土交通省のホームページには、「取締役に準ずる地位にあって、許可を受けようとする建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て、取締役会又は代表取締役から具体的な権限移譲を受けた執行役員等」となっています。
ここで注意しなければならないことは、申請会社が「取締役設置会社」であることが前提になります。

具体的には、執行役員の地位が、役員に次ぐ職制上の地位にあることを確認する書類として、組織図その他これに準ずる書類

業務執行を行う特定の事業部門が許可を受けようとする建設業に関する事業部門であることを確認するための書類として、「業務分掌規程」その他これに準ずる書類

具体的な権限移譲を受けた書類として
定款、執行役員規程、執行役員職務分掌規程、取締役会規則、取締役就業規程、取締役の議事録が求められます。

業務執行を行う特定の事業部門における業務執行実績を確認する書類として、
過去5年間における請負契約の締結その他の法人の経営業務に関する決裁書等が求められます。

今回の改正は、中小零細企業に殆ど関係がなく、大手建設会社の救済措置とも言えそうです。

ちなみに「執行役員」と「執行役」は違います。
執行役員は、会社法でいう役員ではなく、部長職等の従業員です。

執行役は、会社法の役員にあたります。取締役と同じ役員です。
委員会設置会社において、業務執行を行う役員のことをいいます。
委員会設置会社の詳細は、別途説明します。中小零細には殆ど関係ないと思ってください。資本金5億円以上または負債総額200億円以上の大会社の話です。

執行役は、会社法でいう役員ですので、経管に文句なしでなれます。執行役員みたいに、諸々の証明する書類は求められません。取締役経験5年以上と同じで、履歴事項証明で担保されますので、証明は簡単です。

執行役員は、会社法の役員ではなく従業員で、役員に次ぐ補佐経験ですから、上述のような証明書類が求められます。