貨物自動車運送事業法の第5条に、8つの欠格事由が記載されています。これは、法律上の欠格事由です。条文の掲載と簡単に説明します。

 

(欠格事由)

第五条 国土交通大臣は、次に掲げる場合には、第三条の許可をしてはならない。

 許可を受けようとする者が、一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者であるとき。

 許可申請者が1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者です。

 

 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の通知が到達した日(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条第一項の通知が到達した日(同条第三項により通知が到達したものとみなされた日を含む。)をいう。第四号において同じ。)前六十日以内にその法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。第六号及び第八号において同じ。)であった者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)であるとき。

 許可申請者が許可の取消しを受け、その取消しの日から5年を経過しない者です。また、許可を取り消された者が法人である場合には、当該取消しに係る聴聞の通知が到達した日前60日以内にその法人の役員であった者で、当該取消しの日から5年を経過しないものを含むとなっています。

 この場合、「法人の役員」については、登記上の役員だけではなく、実質的に役員と同じかそれ以上の職権や支配力を持っている人も含みます。これは、下記の6と8の「役員」も同様です。

 

 許可を受けようとする者と密接な関係を有する者(許可を受けようとする者(法人に限る。以下この号において同じ。)の株式の所有その他の事由を通じて当該許可を受けようとする者の事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの(以下この号において「許可を受けようとする者の親会社等」という。)、許可を受けようとする者の親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの又は当該許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもののうち、当該許可を受けようとする者と国土交通省令で定める密接な関係を有する法人をいう。)が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者であるとき。

 許可申請者と密接な関係を有する者(親会社、子会社、グループ会社等)が、許可の取消しを受け、その取消しの日から5年を経過しない者です。

 

 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る聴聞の通知が到達した日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。

 許可申請者が、許可の取消しの処分の係る聴聞の通知が到達した日から、その許可取消し処分をする日または処分をしないことを決定する日までの間に、事業廃止の届出をした者で、その届出の日から5年を経過しないものです。

 

 許可を受けようとする者が、第六十条第四項の規定による検査が行われた日から聴聞決定予定日(当該検査の結果に基づき一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣が当該許可を受けようとする者に当該検査が行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。

 許可申請者が、監査が行われた日から聴聞決定予定日までの間に、事業廃止の届出をした者で、その届出の日から5年を経過しないものです。

 

 第四号に規定する期間内に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出があった場合において、許可を受けようとする者が、同号の聴聞の通知が到達した日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員であった者で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。

 許可の取消しの処分の係る聴聞の通知が到達した日から、その許可取消し処分をする日または処分をしないことを決定する日までの間に、事業廃止の届出があった場合に、許可申請者が聴聞の通知が到達した日前60日以内に事業廃止した法人の役員であった者で、事業廃止の届出日から5年を経過しないもの(事業廃止に相当の理由がある場合を除く)です。

 

 許可を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人が前各号(第三号を除く。)又は次号のいずれかに該当するものであるとき。

 「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」とあります。

 この意味は、結婚している未成年者は、法律上は成年者と同様に取り扱われます。また、法定代理人(親の場合が多い)が未成年者に対して、運送業に関する営業を許可していれば、法律上は成年者と同様に取り扱われるということです。

 したがって、この7の規定は、「法定代理人から許可を得ていない未婚の未成年者または成年後見人が運送業許可の申請をするときには、法定代理人について、欠格事由を判断します」ということです。

 許可申請者が、営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者または成年被後見人である場合において、その法定代理人が上記の1~2及び4~6並びに下記の8のいずれかに該当するものです。

 

 許可を受けようとする者が法人である場合において、その役員のうちに前各号(第三号を除く。)のいずれかに該当する者があるとき。

 許可申請者が法人である場合、その役員が上記1~2及び4~7のいずれかに該当する者があるときです。

 8については、役員(実質的に役員と同じかそれ以上の職権や支配力を持っている人も含みます)の中に1~2及び4~7の事項に、1人でも該当する人がいた場合には、許可が受けられない点に注意が必要です。