一般論として、悩みやストレスの多くは、「人間関係の問題」や「金銭的、経済的な問題」が中心でしょう。今回は「金銭的、経済的な問題」について考えてみたいと思います。

 経済問題は、人間特有の悩みと言ってよいでしょう。自然界を見れば分かるとおり、動物たちは、お金を一円も儲けることができません。動物たちは、経済活動ができませんが、その代わり、人間のように、精神的な病気をつくることもないし、発狂もしないし、自殺もしません。結局、こうしたものは、心の世界で起きている「事件」が現象化していることが多く、人間特有の悩みです。経済問題もしかりです。

 また、「十分なお金が手元になくて苦労する」という手元不如意の悩みは、今に始まったことではないでしょう。歴史的に見ても、「お金が余って困っている」という時代は殆どなく、人類の歴史の99%は、「毎日、食べることができれば、それだけでありがたい」という食うや食わずの時代だったと思います。豊かな時代は、本当に1%あるかないかです。

 いつも思うのですが、お金は天から降ってきません。やはり、努力して経済問題を解決していくしかありません。その一つとして、この世の中では、世間様から見て、お役に立つ仕事をしていれば、それなりの経済的な報酬が与えられるようになっていると考えます。必ず、そうです。しかも、業種を問わず、そうです。

 つまり、自分の収入額を決定しているのは、自分自身ではなく、周りの人たち、あるいは、お客様など、世間一般の人たちです。

 例えば、不況期であっても、商売が繁盛しているところと、繁盛していないところが出てきますし、同じ会社のなかでも、収入が増える人と増えない人が出てきます。それを決めているのは、自分ではありません。周りの人たちが、そのように決めてくださるわけです。

 したがって、お金を儲けようとして、あがく必要など全然ありません。多くの人の役に立つ仕事を常に心掛けることです。「多くの人の笑顔や幸福な姿を見ることを喜びとする。そうしたことを、自分の仕事の延長上に見いだす」というような努力をすることが大事だと考えます。「人々の役に立ち、人々から感謝されていて、経済的な報酬がない」ということはありえないことです。

「自社の商品やサービスがこんなによいのに、売れないのはおかしい」と言うのは勝手ですが、やはり、世間の目は厳しいものです。

 また、「不況だから潰れた」という言い訳をよく聞きますが、同じ通りや繁華街にあっても、「潰れるところあり、潰れないところあり」です。お客は減って潰れるところがある一方、お客が増えているところもあります。

 本当に不思議なことですが、この事実に対しては謙虚でなければならないと思います。

 経済問題については、個別具体的なことを深く考えすぎる必要はありません。世間様のお役に立つような仕事を常に心掛けていれば、どのような職場においても、みなさんの経済状況は好転します。そして、今いる会社のなかで、自分の持っている能力や才能を生かし切れなくなった場合には、必ず、新天地が開けるようになっています。世の中というのは、そのようなものです。

 見る人は、必ず見ています。人々の役に立つ仕事をしていれば、みなさんに、もっと大きな仕事をさせるべく、しかるべきときに、しかるべき手を伸ばして引っ張ってくれる人が、必ず現れてきます。

 繰り返しますが、経済的な問題については、一過性のものがあったとしても、あまり深く悩みすぎる必要はありません。人様のお役に立つことを心掛けながら、その結果については、大いなるものに委ねて、祈ってください。そうすれば、必ず道は開けてきます。

 ビジネスの世界においても、「自分の会社が大きくなることによって、世界繁栄の原動力の一助にないたい」という高い志を持っていると、その志は必ず人々に伝わり、協力者が大勢出てくるものです。そのように思ってください。