断熱屋こと、山本順三さんの「無暖房・無冷房の家に住む(三一書房)」から、引用させてもらいます。ご本人の承認済です。P98から。

人が一生をかけて建てた住まいが、わずか26年で崩壊し、まだローンが残っているのに新しく建てなおす。これほど日本の建築業界は落ちこぼれた仕事をして平気である。

みんな結露によって引き起こされた結果である。結露とはなにかという根本を誰も教えなかった。誰も究明しなかった。誰も教わったものがいない。教える者がいないことに尽きる。

1.日本の家はなぜ26年なのか・・・住宅破壊の元凶3つ

断熱屋はふくろ叩きになるのを覚悟で言う。26年しか持たない「獣宅」の原因は、モルタル・グラスウール・ビニールクロスの3点セットにある。と断言する。

2.モルタル

不燃住宅、耐火住宅ということでモルタルによる外壁が奨励された。そのことは火事での延焼防止に効果があったことは功として認めなければならない。だが、空気層もなくモルタルを塗り、その上に防水剤として樹脂を吹き付けた。早く言えば、ビニールで包んだことになる。これは罪といえる。

3.グラスウール

何より安価であることが受けた。これが功といえる。以外と思われるかもしれないが、GW(グラスウール)の透湿抵抗はとても低いことである。CF(セルローズファイバー)に比べて一桁違うほどだ。でも、吸水するという罪がある。

スウェーデン住宅は、住宅展示棟の中で相変わらずの人気がある。だが、あれは日本化されたもので、本国から直輸入されたものは、外壁の厚み総計が343ミリ、うちGW240ミリ、小屋裏にCF400ミリ、木製3層ガラス窓、高気密、同国製の換気方式。

これほどの規模であれば、内外の温度差による結露が発生するものか、断熱屋ではとても解明できない。だが、我が国の50~70~100ミリ程度のGWでは、透湿する前に吸水に至ってしまう。だから、リフォームや取り壊しの際に、北側の柱や土台が朽ちており、GW(グラスウール)に至っては南側の壁の中まで真っ黒になっている。

「GW(グラスウール)は年月を経れば真っ黒になるものだと思っていた」相当のベテランだが、工務店の社長の認識はその程度のものだ。あれは水を吸って腐朽菌に侵された証拠品であることを知って欲しい。

4.ビニールクロス

建材には功罪半ばするものがあり、一概に罪だけを問えないものなどが多くある。だが、ビニールクロスは功がゼロと言いきってもよいかと思う。

シックハウス、残罪の処理、透湿しない。火災時の対応、負の遺産だけである。

以上で、モルタル、GW(グラスウール)、ビニールクロスを「獣宅」破壊の3犯人と指定する。

何度でも言うが、今頃これらのものを対応もなく使用している、または今後も使い続けるような工務店は直ちに店仕舞いしたほうがよい。そうでなければ、あなたの子供または孫の代に悲劇が訪れることになる。その前に結露を知って欲しいものである。