大和の国「三輪」は、奈良県桜井市にあり、三輪明神と三輪そうめんで有名なところです。
その三輪明神の大鳥居前に、白玉屋榮壽(しらたまやえいじゅ)という、お店があります。白玉屋榮寿というのは、お店の名前ですが、初代創業者の名前でもあります。創業は弘化元年(1844年)です。名物の「みむろ」最中(もなか)を売り物にしている土産店ですが、お店の中に喫茶室も別棟であります。
土産物は、この「みむろ」という最中だけと言っても良いぐらい、最中をお土産用、贈答品として販売しています。180年にわたり、この「みむろ」最中の製法を7代にわたって受け継いできた老舗です。
私たち家族は、お昼の食事に三輪そうめんを食べに行きました。三輪そうめんは、さほどおいしいと思いませんでしたが、帰りに立ち寄った、白玉屋榮寿の喫茶室が気に入りました。
普通の喫茶店とは違い、「抹茶」を置いています。あたたかい抹茶、涼しい抹茶があります。葛切りもあります。もちろん、コヒーも紅茶もありますが、どうやら抹茶がメインらしいです。木造の土産店とは別棟に古風な喫茶室があり、きれいな庭も見ながら、抹茶をいただくことができます。
妻と娘は、あたたかい抹茶を、私は葛切りを注文しました。
抹茶には、名物の「みむろ最中」がついています。妻は思わず「おいしい」と叫びました。みむろ最中のことです。抹茶もおいしい。久しぶりに満足そうにしていました。黒みつでいただく葛切りも、なかなかの味でした。
180年にもわたり、最中(もなか)一筋に経営されているお店ですが、こだわり抜いた小豆(あずき)と糯米(もちごめ)の芳ばしさが、この名物「みむろ」の味を出しているのですね。お土産に、名物「みむろ」最中を買って帰りました。帰ってからも食べましたが、はやり、おいしい最中でした。
全国の門前町や城下町には、白玉屋榮寿さんのようなお店が必ずあります。何百年も続いているお店ですから、そのお店お店の味と風合いがあり、こだわりの逸品だと思います。
神社仏閣、お城巡りも楽しみですが、このようなお店に立ち寄り、おいしい饅頭や最中をいただくのも、楽しみの一つになりました。
歴史が醸し出す、人の愛と磨き抜かれた技は、何百年も続くおいしい食べ物も提供してくれます。その土産物に人間の深い愛情が込められているようにも感じました。やはり、食べ物ひとつにも人間の愛情が溢れ、選び抜かれた工法は、物が先ではなく、人の深い愛が先にあり、その愛でもって、技を磨いていく。これが本物の味ですね。もちろん、人の好みも様々でしょうが、そこに際立った味と風味があるからこそ、何百年も続いてきたのでしょう。
白玉屋榮寿さんの宣伝みたいになりましたが、こういうお店巡りも時には、良いものです。