悩みがないという人は、まずいません。何らかの悩みを抱えていることと思います。

 それでは、悩みの正体は何かといえば、たいていは、判断がつかないことによる混乱です。「どうしたらよいか、判断がつかない」という混乱が、悩みのほとんどの原因です。

「こうすべきだ」ということがはっきり見えたならば、悩みはなくなります。しかし、「どうしたらよいのか分からない」という混乱状態が続くために悩みます。

 そうした混乱が起きる原因は、たいていの場合、知識がないか、経験がないかのどちらかです。つまり、知識や経験の不足です。知っていることや経験のあることについては迷わないものです。

 それでは、悩みから脱出するには、どうすればよいのでしょうか。

 ほとんどの問題は知識や経験の不足で起きているのですから、まず、その問題を解決するにあたって必要な知識を、可能なかぎり集めてみることです。悩んでいる暇があるならば、関連する知識を集められるだけ集めてみます。

 こうして集めた知識を並べて整理していくうちに、結論がはっきり見えてくることがあります。それをせずに漠然と悩んでいても、問題が解決することはありません。まず、関係する知識を集めることです。

 例えば、自分の娘が結婚することになったため、「最近の結婚式は、どのように行なえばよいのか。仕事は忙しいし、お金もないし、どうしたらよいのか分からない」と悩んんでいる人がいるとします。

 この悩みを解決するには、いまの方法を当てはめてみればよいのです。

 まず、結婚式関係の資料をいろいろと集めて、最近の結婚式がどのようになっているのか調べます。

 結婚式関係の本はたくさん出ているので、何冊か買い集めてパラパラと読めば、「だいたい、このようにやっているのだなあ。平均の費用はこのくらいで、このような衣装を着て、このような引き出物を出すのだな」ということが分かります。

 次に、経験が足りない部分については、仲人を何度も経験した人に相談することです。

 そうした人に直接会ったり電話をかけたりして、「うちのような場合は、どうしたらよいのですか」と訊けば、「こうすべきですよ」というアドバイスが返ってくるはずです。

 こうして情報がそろってくると、迷いはかなり減って、「このくらいの予算でやろう。会場はこのくらいの場所にしよう。引き出物はこのくらいにしよう」ということが、だいたい決まってきます。

 単に漠然と、「娘の結婚式でパニックだ。仕事は忙しいし、お金もない」と悩むのではなく、関係する知識を集めて整理し、経験の足りない部分については、他の人からアドバイスを得て、選択肢を絞り込んでいけば、結論はだいたい出てきます。

 志望校の選択でも同じです。ただ漠然と悩むより、まず情報収集です。「どの学校がどのような試験をしているのか。難しさはどの程度か。受験科目は何科目か。二科目なのか。四科目なのか」というようなことを調べてみるのです。

 こうした情報を集めることによって、「うちの子はあまり出来がよくないので、四科目なら危ないけれども、二科目に絞れば、いまからでも勝負が可能かもしれない」「うちの子は全科目ともよくできるので、四科目で勝負したほうがよい」などという結論が出ます。

「また、通学時間は長いか短いか」「キリスト教系の学校かどうか」など、いろいろな判断基準もあるでしょう。

 このように、情報を集めて整理し、選択肢を絞り込んでいけば、悩みの大部分は消えていきます。そして、「絞りをかけたけれども、選択肢が一つにならない」という場合には、優先順位をつけることです。ある程度、絞り込んだ段階で、選択肢に優先順位をつけ、「一番がだめなら二番。二番がだめなら三番」としていけば、かなり心が楽になります。

 就職活動でも、人間関係における悩みことも同じです。情報収集と経験豊富な人に相談されることです。恩師や先輩なり、友人知人に勇気を持って相談されることです。ただ悩んでいても何の解決にもなりません。解決策に向けて、智慧を絞り努力することです。必ず、解決策が見つかります。心の絵を良い方向にもっていってください。