一般貨物運送許可の仕事で、営業所の建物が運送業の用途ではないということで、取り下げを余儀なくされたケースがあります。
用途変更をすれば許可になりましたが、依頼者は用途変更には応じてくれず、損害賠償に訴えてきました。
かなり強引な事件でしたが、素直に自分の判断ミスを認め、多額の賠償金を支払ったことがあります。
自分の知識不足とは言え、悶々と眠れない日々が続き、深い悲しみに包まれ、裁判が確定するまでは、生きた心地がしませんでした。
その時から、人を責めることは決して良い結果を与えないと、逆に実感させられ、爾来、人に対する態度や接し方に大きな変化を与えてくれました。
人間は精神的な面で追い詰められると非常に厭世的になり、つまらないことまで考えてしまうものです。
深い悲しみを実体験すると、人を許す範囲が広がるような気がします。
人が悲しんでいる姿とは、どのようなものか、切々と胸に迫るように分かるからです。
大きな悲しみを経験すると、人に対する優しさが増幅してきます。
その事件をきっかけに、人に対する本当の優しさが理解できるようになったように思います。
人と接するときの優しい眼差しや、相手の成長を待ってあげられるという気持ちも持てるようになってきました。
自分の傷口のなかをえぐられた経験のある人は、他の人の傷口に錐を差し込むことができなくなります。
大きな許しも素直にできるようになります。