セルローズファイバーの最高峰、山本順三さんの体験館で一泊した。埼玉県朝霞市にあり、池袋から25分ぐらいである。

外は肌寒い感じだが、体験館の中は、温度22度、湿度41%ぐらい。もちろん、暖房などしていない。セルローズファイバー(CF)という断熱材を使った、冬暖かくて、夏涼しい家である。

まずは、ヒノキ風呂で汗を流す。風呂から上がると、山本さんの手料理が待っている。幻の酒「越乃寒梅」をいただきながら、男料理に箸を運ぶ。年輪を重ねた山本節にCFとの出会いを尋ねた。

27年前に、CFを自分の家で施工したのが、Z工法の始まり。当時はアパート住まいだったので、上階の音が気になり、天井裏に上がり、CFを充填すると、夜中に帰ってくる上階の音が殆どなくなった。まず、防音効果にすぐれていることを知る。

壁の中が空洞だったので、これもCFを充填した。部屋の中が暖かくなり、断熱効果のすごさに、びっくり!

CFを充填して、三日ほどすると、アブラ虫がよたよた出てきた。CFの中に入っている「ホウ素」の影響で、明るいところを求めて、次から次へ出てくる。気持ち悪いぐらい出てくる。大きいのから小さい子供のアブラ虫まで。勢いも元気もないアブラ虫である。ホウ素の力で、防虫効果の威力も知る。もちろん、それ以来、アブラ虫は一切でてこない。

断熱効果は土壁の20倍。音を吸音する力(防音効果)。アブラ虫を寄せ付けない防虫効果。CFのすばらしさを知ることになる。施工方法も「Z工法」と名づけ、世の中に伝える。苦節20年。本物を求める男の命を感じる。一冊目の書籍「この本を読んでから建てよう」が8年前に出版され、セルローズファイバーが全国的に広まり始める。その後も精力的にCFの普及に努め、現代に至る。今も元気に全国を飛びまわっている。

この間、CFを使ったリホーム工事で現場体験を数多く重ねる。ますます、CFの威力を実感する。多くの新築工事も施工する。それを理論付けするために猛勉強。そして、今回の「無暖房・無冷房の家に住む」が5冊目の出版になる。山本理論の完成版ともいえる書籍である。

どこまでも、本物を貫いた男がいる。Z工法の発明者、山本順三。セルローズファイバーは、現在のところ、最高の断熱材であり、Z工法は、最もすぐれた施工方法である。コストも良心的で安い。