1.義務化の概要

 国自旅第53号(令和7年6月20日)によりますと、一般貸切旅客自動車運送事業者は、毎期、原価報告書を作成し、報告が義務化されました。従来からある、独自の運賃料金を届出する場合の原価計算書とは、別の義務化です。

 原価報告書の報告期限は毎事業年度の経過後100日以内としており、初回は令和7年7月9日を報告期限とする予定です。

 報告の義務付けは、令和6年4月1日から令和7年3月31 日までの間を終期とする事業年度から適用することとなりますが、事業年度の終期が令和7年3月31日より前の日である事業者についても、初回については令和7年7月9日を報告期限とするようです。

 これは、貸切バス業者が自社の原価報告書の作成・報告を通じて、運送の引き受けに際して必要な安全コストをあらかじめ確認することによって、旅行業者等との手数料等について適正に取引することを目的としています。

 詳しくは、国自旅第53号(令和7年6月20日)の「一般貸切旅客自動車運送事業者の原価報告書について」を参照ください。

 一般貸切業者は、届出の書類が増えました。今でも大変なのに、また余分な手数が増えます。近畿運輸局の担保者も、この義務化に反対されたそうです。なぜならば、手数が増えるからです。。

 

2.提出様式

 様式としては、次のものが用意されています。

1.原価報告書の作成マニュアル

2.エクセルの申請様式

 ⑴ 原価計算書(入力用)

 ⑵ 算出基礎資料(入力用)

 ⑶ 原価計算書(出力用)

 ⑷ 主要経済指標

 

3.事前の準備書類

 原価報告書の作成にあたり、事前に次の書類を作成しておく必要があります。

 これらの書類があれば、スムースに原価報告書を作成することができます。

 ⑴ 事業概況報告書の「一般旅客自動車運送事業損益明細表」第1号様式第2表

 ⑵ 事業概況報告書の「一般旅客自動車運送事業人件費明細表」第1号様式第3表

 ⑶ 総走行時間、乗務時間、点呼点検時間(任意様式)

 ⑷ 貸切事業用車両を管理している固定資産台帳(任意様式)

 ⑸ 事業概況報告書の「貸借対照表」

 ⑹ 運賃及び料金設定(変更)届

 

4.注意すること

 貸切バスの運賃料金は、「安全コスト」と、それ以外の諸経費とを合わせた額とされております。そのうち、貸切バス事業者が旅行会社に対して支払うことがある「手数料」については、ここでいう「安全コスト以外の諸経費」の方に含まれます。

 この手数料の額が多すぎることによって安全コストが阻害される場合に、道路運送法第10条の「割戻し」による行政処分の対象となってしまうことから、各事業者において、適切に安全コストを計算することが重要です。