イソップ童話に「ウサギとカメ」のお話があります。

「ウサギは足が速いのでピョンピョン跳ねて、カメはノロノロとあとから歩いてくるため、ウサギは昼寝していてもいいなと思って石の上で昼寝をしていたところ、カメに追い抜かれて、カメのほうが先にゴールに着いてしまった」というお話です。

 イソップ童話は、動物を主人公にした寓話で、教訓や道徳を伝える物語ですが、私たちにとっても非常に参考になります。この「ウサギとカメ」のお話を人に当てはめて考えてみましょう。

 人には才能の差がありますし、能率や能力の差もありますが、「延々と努力し続ける者には勝てない」という教訓だと思います。やはり、コツコツと長く努力される人は、最後は勝利するという事でしょう。

 例えば、一流大学出身でも社会人になり、お酒の勉強やグルフの勉強ばかりに熱心な人がいらっしゃいます。確かに優秀だったかもしれませんが、過去の話です。商社時代にもそのような先輩と接してきました。優秀だった時の自慢話ばかりで、謙虚さもなく、魅力も感じませんでした。「昔東大、今は空っぽ」という感じですね。

 一方、三流大学出身でも、熱心に勉強や日々努力されている先輩のほうが、最終的には出世されて取締役になられた人もいらっしゃいました。多くの書物を読まれ、いつも謙虚で自慢話などを聞いた事がありません。「謙虚さの底力」を感じますね。

 やはり、謙虚に努力される人は、最後に勝利されます。いわゆる「常勝の人」です。常に勝ちづける人です。そこには、人間の魅力として「謙虚さ」が輝いています。

 いつも謙虚さを大切にされている経営者には、何とも言えない魅力を感じます。

 例えば、失意の時、どん底の時、貧乏の時に、人間は割りと耐えられるものです。辛抱強く生きていけます。何くそ!と思って、がんばれるものです。

 個人事業を開始した、最初はナイナイづくしでも、寝食を忘れて働けるものです。苦しい時間を耐え忍ぶことは、九五%の人が可能です。本当に辛い、大変な時期を乗り越えていかれる人は多くいます。大半の人が、ご自分の道を切り開いていかれます。素晴らしいことです。頼もしい限りです。

 しかし、発展の時、得意の時、お金ができてきた時、絶頂の時、成功している時に、本当の人間性を出せる方は皆無です。五%しかいません。いや三%でしょう。

 たいていは、慢心してしまい、傲慢になってしまいます。多くの方の姿です。

 この発展の時や得意の時にこそ、感謝の気持ちを忘れず、今の自分は、自分の実力にあらず。多くの方のお陰で、ここまできた。もっと謙虚にならなければならない。成功すればするほど、上に立てば立つほど、自分の力ではない、多く方の応援があって、発展できたのだと思える方は、非常に少ないです。偉そうにしたり、人を小ばかにしたりする人の方が多いのではないでしょうか。

 発展の時にこそ、人間の本性がでてきます。本来の人間性が表現されます。この一点にかかっています。この時こそ、謙虚になれる人が「常勝の人」だと考えます。

 失意の時も、自分に勝てる人、発展の時にも、自分に勝てる人こそ、真の常勝の人です。上も下も、いつも謙虚に、淡々と信念をもって、多くの方を幸福に誘える人こそ、「常勝の人」と、言えるのではないでしょうか。

 謙虚さは、繁栄発展を持続させる人生哲学でもあり、経営哲学でもあると想います。真の「常勝の人」になってください。心より期待しております。