心温まる素敵な「抱っこ」の宿題というお話です。
渡辺和子著の「幸せはあなたの心が決める(PHP文庫)」に書かれていました。
九州のある小学一年生の女の子のお話です。引用させていただきます。
ある日、女の子が学校から家に戻ると、「今日の宿題は?」と父親に尋ねられます。
「今日はね、誰かに抱っこしてもらうこと」と答えた女の子を、父親は「よーし」と言ってすぐに、しっかり抱いてやりました。
そしてその後も、母親、祖父、祖父母、姉たちに次々と抱っこされたのです。
翌日、学校から戻った女の子は、六人に抱っこしてもらった自分が一番だっとと父親に報告します。「皆、してきたんだね」と言う父親に、「ううん、何人かしてこなかった。先生が、前に出なさいと言って前に出たんだ。そしたら先生が、一人ひとりを抱っこしてやったんだよ」。
宿題をしてこなかった子どもを叱(しか)るでもなければ咎(とが)めるでもなく、親の代わりに抱っこしてくれた先生の姿に、私は心温まる思いがしました。
そして、私たちの大学を出て教職につく一人ひとりが、こんな先生になってほしいと思ったことでした。
マザー・テレサは言いました。
「愛の反対は憎しみではなく、無関心だ」
「抱っこの宿題を我が子にしてやれない親、肩から掛けた『抱っこぬの』の中で幼児に乳首をあてがいながら、一心にメールを打っている母親に育てられた幼児は、満腹はしても、心の満足は味わっていないのではないでしょうか」。
「あなたがたいせつ」と抱きしめる愛、乳をふくませながら幼児を見つめ、ほほえみかける愛を持つ母親、便利な機器を駆使しながらも、機器の奴隷ではなく、主人であり続ける人たちを育てたいのです。
実に素敵なお話です。このお話は、新聞でも紹介されて、人つてに広まっているそうです。
親子関係は元より、あらゆる人間関係においても、会社経営においても、このような気持ちの持ち方、考え方、愛情表現を大切にしなければと痛感しました。
この書籍の帯には、「30万部ベストセラー待望の文庫化」と書かれていました。お勧めの一冊です。