自分が頑張った結果、実績があがって会社に利益をもたらすことがあります。それは当然のように自分の実力でなったと思う方がいます。確かに努力されて頑張ったことでしょう。しかし、こういうタイプの方は、往々にして感謝を忘れがちで、自分の実力を過信されているようです。
やはり、実力だけでない場合が多くあります。他の方の力が加わって実績を上げた場合や、たまたま上司との相性がよくて、いい仕事を割り振ってもらって認めてもらったとか、あるいは、誰か知っている人の引きがあって成果を上げたとか、いろいろとあります。自分自身は気がつかないことが多いです。
「実力でやっている」と思っているけれど、本当はそんなことはなくて、必ず他の方の目があります。他の方の目があって、どこかで、自分が知らないところで褒めてくれていたり、引き上げてくれたり、あるいは押し上げてくれたりする場合があります。
だから、自分の実力だと思って、慢心してはダメだということです。多くの方の援助があり、ここまで来たことを素直に感謝しなければいけないと思います。
例えば、一ヵ所でやっていた仕事ができた場合でも、違うところに移されたら、今度は経験値がゼロになりますから、すぐ元のレベルまで戻すのはそんなに簡単に出来ません。ここで、自分の葛藤がたいてい起きます。「こんなはずはない。自分はもっと出来たはずだ」という葛藤が起きます。
それで、不完全な状態になり、周りにも不平不満を言ったりしていると、「ああ、こいつ、どうも合わないみたいだ」ということで、また、ほかのところ、次のところに移される。そこでもまた似たことが起きて、だんだん、そのうち「使えない」「こいつは使えないやつだ」というような判定がついてくることがあります。
このように、自分の実力だけと思わず、周りの助けがあったからこそ、成果を上げられたと感謝されることです。「周りの助け」や「多くの方の援助」のことを「運」と捉える考え方も出来ると思います。
思いのほか出世をしたり、良い人事の動きがあったり、給料が上がったりしても、「殆ど運ですな」という松下幸之助さん的な考えを持つことです。
「自分が社長になれた、あるいは大会社がつくれた、これは運です。九十パーセントは運ですね」とおっしゃっていました。このように言えるのも実力のうちですね。
松下さんのように、自分で一生懸命やり抜いた方でも「運だ」と言っています。ものすごく努力された方ほど、「運」という言葉で表現をされています。
「運=廻りの方々のお陰」と思うことが、最終的には成功へと導いてくれます。自分の実力ではなく、謙虚に感謝を忘れず「九十パーセント運ですな」と言える人になりたいものです。