同業者でもあるM先生からお便りを頂戴しました。
M先生は、数年前から建設業経営のコンサル業をスタートされました。その一旦として、建設業者向けのセミナーを数回開催されていました。私も2回ほど参加させて頂き、好印象を持っておりました。
お手紙の中には、建設業業者向けの参考になる小冊子が同封されていました。付録として、受注現場ごとの原価管理の見本ツールも入っていました。
お手紙の要件は、小冊子などの感想と、コンサルに関してのアドバイスを私に求められた内容でした。M先生にアドバイスが出来る私ではないですが、その返事を私になりに綴りました。その内容です。
貴重な資料をお送り頂き、ありがとうございます。
小冊子は、よく出来ていると考えます。しかし、文字の大きさを2ポイント大きくするとか、改善策のポイントを簡潔に表現された方が良いのではないでしょうか。改善策はこれとこれですと、もう少しページ数を減らした小冊子が良いのではないかと感じました。
なぜならば、中小零細建設会社の社長は、文字を読むのが嫌いな方が多く、本を読む方もかなり少ないからです。
もっとも、勉強家の経営者、本を読むのが好きな方もいらっしゃいます。そういう経営者は、小冊子を最後まで読まれると思います。また、小冊子に書かれた内容の一部は既に多くの建設業者が実践されていますし、特に「受注現場の原価管理」は、常時エクセルでシビアな管理をされています。
建設業に限らず会社経営には、最低限のツールは必要でしょう。経営コンサルされる以上、様々なツールは必須でしょう。しかし、ツールの良し悪しの前に大切な事があると考えます。それはコンサルにかける情熱だと思います。私の持論ですが、少し書かせて頂きます。参考になるかどうか分かりませんが、お許しください。
それは、M先生の溢れるような情熱だと思います。コンサルをされる経営者に、温かい情熱だと考えます。ツールも大切ですが、こんなにも、わが社の事を考えてくださる凄い先生だ。M先生の熱い想いが、どんどん伝わってくる。M先生について行こう。このような情熱が先にあって、ツールは二番手、三番手だと、いつも思っています。M先生は、溢れる情熱の持ち主であり、それを必ず達成できる先生だと確信しています。
また、建設業者の社長らは、一人一人個性があり、経営の仕方が違います。すべて同じ方法論で、その会社が繁栄発展するものではないとも言えます。その会社に相応しいコンサルがあり、そのスタートが、その会社を想う情熱だと思います。
M先生の情熱をぶつけてください。M先生はそれが出来る先生です。それが引き金になって、コンサル業が成功すると考えます。あとは、コンサルの実績です。
かつて、経営コンサルの講演会に参加した結果、また、多くの書籍を読んできた私ですが、大半のコンサルには情熱が感じられませんでした。傲慢な言い方ですが、情熱を感じたコンサル先生はたった一人でした。「一倉定先生」です。若い頃に一倉定先生の講演を3回ほど拝聴しました。凄い迫力と情熱を感じました。また、「社長シリーズ」の書籍にも多くの事を教えて頂き感動しました。ある意味、一倉定先生が本当の経営コンサルタントだと、きのう事のように覚えています。
もっとも、その後、経営コンサルの講演会参加も、書籍も読んでいませんので、一倉定先生を超えるコンサル先生もいらっしゃると思いますが、情熱がないコンサルは、私にすれば経営コンサルではありません。
勝手な事ばかり書いてきました。私の感想です。
M先生も、M先生なりの情熱をぶつけてください。それが出来る先生です。
ツールは所詮ツールです。ツール以上になりません。建設業経営もコンサル業も、人間の真心が根底にあります。与える愛が根底にあります。相手を想いやる情熱です。それを感じない建設業経営者もコンサル業者も、ただのツールに過ぎません。ツールも大事ですが、その前に相手を思いやる溢れんばかりの情熱です。
最後になりますが、
M先生のご健康と、ご活躍をお祈りいたします。
溢れんばかりの情熱で、コンサル業を進めてください。
後日、M先生から次のような手紙を頂戴しました。非常に恐縮しております。
拝啓
いつも大変お世話になります。
この度はお忙しい中、返信のお手紙をいただきありがとうございます。
深く感謝申し上げます。
北口先生のお手紙を読ませていただき、涙が止まりませんでした。
私は、長年実務を行って来た中でコンサルティングの必要性を感じ、勝手に我流・手探りで動いてきました。
自分でも気が付かないうちに視野が狭くなり、最も大切な事がいつの間にか抜け落ちてしまっていた事実に、北口先生の言葉でようやく気が付きました。
それは、お手紙に書かれた「わが社の事を考える熱い想いがどんどん伝わってくる」をお客様と共有して会社を良くしていく事であり、「今すぐに出来る事がある」という事実です。
これまでは自分が持ち合わせていないスキル(=ツール等)を求めて必死に営業してきました。
北口先生のおかげで「目からウロコ」のように目の前にある現実が見えました。
自分の目の前に、足元に、そのヒントとチャンスがちゃんとあったのです。
先ずは、私が知っているお客様で「経営状態をなんとか良くしたい」と思っている会社への支援から始める事にします。
「経審の解説」しかり、「工事契約書について」しかり。
そして、報酬の事ばかり考えていた自分を深く反省し、報酬が十分にいただけるのは実績を積んでからと自覚し、当分の間はお客様に負担をかけない程度の金額(実費+α)で支援を行うこととします。
又、横の繋がりでこれまでお世話になっている士業先生や関連業界の方々に私のコンサル業務をお伝えし、お役に立てるようお知らせをします。
コンサルの情熱について、北口先生は「一倉定先生」の生の講演をお聞きになられたのですね。羨ましいです。
私が一倉定先生を存じ上げたのは数年前ですので既にご逝去された後でした。
「社長シリーズ」はまだ読んでいませんので早速読みます。
弊社「建設業経営者の為の小冊子」は現在、改定版を作成中です。
コンサルティングという形のないサービスをパケージングして、概要と目的が伝わるよう、出来るだけ簡潔なものを目指しています。
又、実績を積み上げる一方、専門家としての勉強も怠ることなく、本物のコンサルタントを目指します。
私から一方的に北口先生にご協力をお願いしたり、教えを請うたりしたにもかかわらず、行政書士会会長であられた北口先生から直々にご丁寧なご指導をいただける事は、大変貴重で、ありがたいことでございます。
改めてお礼申し上げます。
北口先生のますますのご発展とご健勝をお祈り申し上げます。
敬具