「他の人と比較して、あらゆる面で絶対に負けない」ということはありえません。何かが優れていても、何かは劣っているものです。

 人間が嫉妬心を感じる相手とは、基本的に、自分の関心のある領域の人、要するに、「自分のライバルになるようなタイプの人」であり、それ以外の人には感じないものです。

 例えば、私が毎日、運動していても、それは、健康のためにする程度のものであって、「スポーツ選手になろう」と思って運動をしているわけではありません。私が「オリンピック選手に嫉妬する」ということは、まずありません。なろうとも思いません。

「ヤワラちゃん」の愛称で親しまれている谷亮子選手が、柔道で金メダルを取ろうが取るまいが、何の嫉妬心を感じることもありません。ところが、かなり高いレベルの実力を持っていた元スポーツ選手だったら、どうでしょう。

 現役を引退し、結婚して、今はママさんになっている人が、「ヤワラちゃんは、ママになってもメダルを取ろうとしている」という姿を見たら、嫉妬心が出てくるのではないでしょうか。「私は完全に引退しているのに、彼女はまだ現役でやっているのか」と思い、嫉妬心を感じるでしょう。

「嫉妬を感じる」というのは、やはり、自分が関心を持ち、「そのようになりたい」と思う領域の人に対してするものです。そういう人に対しては嫉妬を感じますが、それ以外の人には感じないものです。

 この嫉妬心についても、頑張って心も持ち方を換えなければ、幸福にはなれません。

 みなさんは、嫉妬心でギラギラしている人を見て、それが幸福な姿に見えますか?「あの人は嫉妬心が強いな」と感じたとき、その人のようになりたいと思うでしょうか。

 なりたいとは思わないでしょう。

 他の人の姿を見れば、「嫉妬心は嫌なものだ」と感じるでしょうが、そう思う自分であっても、やはり嫉妬心は出てくるものです。

 嫉妬を感じている状態は、「幸福ではない状態」です。

 今、幸福な人は、あまり他人に嫉妬をしないものです。あなたの幸福の程度が上がれば上がるほど、人に対して嫉妬をしなくなります。ところが、あなたの不幸感覚が強ければ強いほど、人に対する嫉妬心が強くなります。そのような関係があるわけです。

 このように、幸福感が高まっていくと、嫉妬心が薄くなってきます。反対に失敗が多かったり、えぐれている部分があったりしますと、嫉妬深くなります。

 嫉妬心を乗り越えましょう。生まれつき嫉妬心のない人はいません。本能のままでいけば、どうしても出てきます。

「嫉妬心を持ったり、それを増幅させたりすることによって、幸福になることはないのだ」という考え方を知ってください。それを知ったなら、その知識をもとにして、自分の心をコントロールしていくことです。

「嫉妬をしても幸福にはならない。もう嫉妬をするのはやめよう。嫉妬を感じるのは、相手がうらやましいからだ。その人をうらやましいと思うわけは、関心のある領域で、自分より進んだところにいるからだ」そういうふうに考えることです。

 自分がその人に代わることはできないにしても、「その人を理想として、近づいていこう」と思い、「その人の成功を祝福しよう」という気持ちを持つことです。

 それによって、あなたは理想に近づいていけます。ところが、その人を嫉妬して攻撃すると、あなたは理想から遠ざかっていきます。

 成功している人を祝福しましょう。褒め称えましょう