お金や富に関する多くの書籍に書かれていることですが、富を形成する基本原則として、三つの法則があります。

 一つ目は、「節倹(せっけん)」です。

 二つ目は、「富はその使い方を知っている人のところに集まる」ということです。

 三つ目は、「与える者は与えられる」ということです。

 

 まず、一つ目の「節倹」です。節倹とは、節約・倹約するということ、無駄を排除するということです。昔も今も変わりません。これが出発点になります。無駄遣いをしたり、贅沢な生活をしていると、富はいくらあっても次第にすり減っていきます。

 これは、ケチであるということを意味しません。ケチな人のところにも、また、残念ながらお金は来ないのです。ケチになれというのではなく、無駄使いをしないということです。自分の福運、自分の金銭に対する、節度ある態度が大事だということでしょう。

 

 二つ目は、「富はその使い方を知っている人のところに集まる」ということです。何でもないところに富は集まりません。銀行には預金が集まりますが、その理由は、銀行はそのお金を使って仕事をしているからです。使い方を知っているから、銀行にはお金が集まります。同じように、個人のレベルにおいても、やはり、富はその使い方を知っている人のところに集まります。

 例えば、家を建てたいという想いがあれば、収入を増やすように努力します。あるいは子供がたくさんいて、みんな大学に行かせてやりたいと思うと、親は収入を増やさざるをえません。

 このように、「富はその使い方を知っている人のところに集まる」という法則がありますから、「自分は豊かになりたい」と思うならば、その富をどのように使いたいのかということを明確化する必要があります。「こういうことで使いたい。だから、このような豊かさが欲しい」と思う必要があります。

「お金は要らない」と思っている人のところには、お金はあまり集まらないものです。集まるとしても、程度が知れているでしょう。しかし、「このように使いたい」と具体的に思っている人のところには、集まってくるということです。

 富というものは、日本国中にけっこう溢れています。その富は、使い手を求めています。そして、使ってくれる人のところに集まってきます。「よい使い方がある」というアイデアを持っている人が出てくると、そこに向かって富は流れていきます。

 例えば、事業がそうです。ある事業が始まると、そこに富が集まってきます。銀行から来ることもあるし、共同出資をする人も出るし、空間を提供する人も出るというように、いろいろなかたちで出てきます。豊かなアイデアがあって、それが人の心を揺さぶり、そこにいろいろなエネルギーを集める力があると、富が集まってきます。このようなものです。

 

 三つ目は、「与える者は与えられる」という心の法則と全く同じです。富が集まったとしても、その富を独占してしまっては駄目です。その富は、常に、他の人びとの生活がよくなるように、他の人びとが幸福になるように使っていくと、必ず循環してくるようになります。

 要するに、富は、自分のためだけに使おうとするとすり減っていきますが、多くの人びとのためにと思って使うと、次第しだいに大きなものになっていき、さらに増殖していくようになります。

 例えば、アンドリュー・カーネギー、ヘンリー・フォード、松下幸之助氏などは、最高のお金の使い方をされています。すごい方ばかりですが、私たちも同じ考え方、同じ心の持ち方を実践すれば、その方に応じた富は与えられます。

 愛や富は、与える気持ちによって、さらに与えられ、循環していきます。そして、大きな富の蓄積になっていきます。無限に発展していくためには、愛を与える気持ち、富を分け与えていく気持ちがどうしても必要です。但し、単に与えるのではなく、いろいろなかたちで、人々の役に立つ方向に富を使っていくということでしょう。