幸せになる方法の一つに「幸福の輪を広げる」という考え方があります。

「喜びを分かち合う仲間は多ければ多いほどよい」という思いを心に抱くことが、幸福の輪を広げることにつながります。

 喜びというものは、一人で喜ぶよりも、二人で喜ぶほうが素晴らしいです。二人よりも三人のほうが素晴らしいです。三人よりも五人、五人よりも十人、十人よりも百人、百人によりも千人、千人よりも一万人、一万人よりも百万人というように、より多くの人が喜びの輪をつくっていくことが素晴らしいと思います。

「喜びの輪が広がっていくとき、その素晴らしさは、ますます増幅されていくのだ」ということを信じてください。

 喜びを自分だけのものにしていると、冷蔵庫に長く置いた食べ物がやがて腐っていくように、誰にも「食べられる」ことなく捨てられてしまいます。喜びは、多くの人々と分かち合えてこそ、本物になっていきます。

「幸福になる道」は、まず、「この喜びを多くの人々と分かち合おう」という気持ちを持つことが大事だと思います。

 例えば、お風呂にいくら熱いお湯が入っていても、バケツで冷水を汲み、湯船のなかに水を入れていけば、お湯の温度は、だんだんに下がっていきます。これを同じように、たとえ幸福で胸いっぱいの人がいたとしても、その人に「冷たい水」をザザーッとかけていく人がいたならば、その人の幸福の温度は、だんだん下がっていくに違いありません。

 要するに、「まず反対の者を減らそう」と思うのではなく、「自分の仲間を増やそう」と思うことが大事です。「自分の幸福感を減ずる人を減らそう」と思うのではなく、「自分と同じような幸福な人を大勢つくっていこう」と思うこと自体が、自分の心を、ますます温かいものに変えていきます。

 そして、その仲間が増えれば増えるほど、自分も非常に楽な気持ちになって、いっそうの幸福感のなかに置かれることになっていきます。

 基本的に、「世の中には、自分のことを、いじめたり、不幸にしたり、さいなんだり、批判したりする人たちで満ちている」と嘆くのではなく、また、そうした人たちを単に取り除こうとするのでもなく、「自分と同じような幸福な人を、一人でも多くつくっていこう。そうした仲間を増やしていこう」という思いを、心のなかに深く深く刻みことが大事ですね。

 世の中には、あなたの考え方を理解してくれる人が大勢います。あなたを励まし、「あなたと共に喜びたい」と思う人がたくさんいます。まず、そうした考え方を、心のなかに受け入れることだと思います。

 幸福の輪を広げましょう。幸せの輪を広げましょう。どんな小さなことでもいいです。どのような些細なことでも、喜びが増幅されていきます。

 例えば、あなたが笑顔になったら、周りの人も笑顔になっていきます。そして、「周りの人がニコニコするのは、うれしいな」と感じるだけでなく、「どうか、この笑顔よ、私から発したこの笑顔よ、他の人々にも伝わっていけ。日本国中に伝わっていけ」と思うことが、幸せの輪をどんどん広げていくことになります。普段はあまり気がつきませんが、幸福を増産していく方法論の一つです。