リーダーに必要な条件はいろいろとありますが、次の条件は特に重要だと思います。

「逃げるなかれ」「責任回避するなかれ」「言い訳をするなかれ」の三つです。今回は「言い訳をするなかれ」のお話です。

 とにかく言い訳をすることは多いものですが、これは人間の弱さです。言い訳、自己弁護というのは、したくなるものです。

 私はあまり言い訳をしない方だと思っていますが、サラリーマン時代に、上司がわけの分からないことばかり言うので、言い訳をしたことがあります。その時に、私に味方をしてくれた先輩は、「あの人が、おまえを叱っている内容には目茶苦茶なところがあるが、一点だけは正しいことを言ったと思う。それは『言い訳をするな』と言ったことだ。あれだけは正しいぞ」ということを言ってくれました。その時は、自分では気がつきませんでした。言い訳をしないことの重要さを教えていただきました。

 一般的には、頭の回転が速かったり、口が立ったりすると、言い訳をするのが上手になります。社内でも「いかに、できなかったか」ということを理路整然と説明する人がいます。あるいは、書類にして「いかに、それができないか」ということを上げてくるような頭の良い人は大勢います。これは、ある意味、頭脳のよさや力を非生産的な方向に使っていることになります。そういう「言い訳の仕事」が増えてくると、一般の会社では「月給泥棒が増えている」という感じになってきます。

 しかし、「言い訳は成功への道ではない」ということを、どうか知ってください。成功は、やはり、「言い訳をしない人」のほうに味方します。

 言い訳をする事情など、いくらでもあります。ただ、言い訳をしたい気持ちを押しとどめ、自己責任だと考える人、「それも自分が受けるげき責任であったか」と思う人がリーダーの条件の一つだと思います。「これは、自分の責任である」というように受け止める器のある人がリーダーと言えるでしょう。

 社員の人数が増えれば、言うことをきかない人はたくさん出てきますし、三十人を超えたら、だいたい言うことはきかない人が出てきます。社長の目を盗んでサボる日人、言い訳をする人、責任逃れをする人など、目が届かなくなります。

 そして、従業員の数が百人、五百人、千人と増えてくると、「どうやって、社長に見つからずに、これをやってのけるか。逃げるか」というように、マイナスのほうにエネルギーを使う人たちが増えてきます。これを見つけて打ち破るのは、なかなか大変なことでしょう。

 しかし、これは、人間に弱さです。悪人とは言えません。単に人間として弱く、「自分を護ろうとしている。保身をしている」ということです。また、言い訳をすれば、「家族を護ろうとしている、地位と給料を護ろうとしている」ということです。

 ただ、やはり、そういう人はリーダーの器ではありません。