真なる友情を生む話です。

 これには、なるべく他人の助けが要らないように、自分でやっていこうとすることが大事です。英語で言えば、「インディペンデント(独立している」です。

「お金の面でも、仕事の面でも、生活の面でも、できるだけ自立し、独立して、他人の面倒にならないようにしよう」と思っているタイプの人とは、友情を結びやすいのです。こういうタイプの人同士の場合は、友情を結んで助け合うことも、お互い楽なのです。

 ところが、いつも「助けて、助けて」と言って、感情的にも金銭的にも、さまざまな面で人を巻き込むタイプの人とは、友情が長続きすることはありません。片方が一方的に助けてもらうような関係は、債権者と債務者の関係であって、そこには真なる友情は成立しないと思います。

 友情を得たいならば、人との結びつきを強くしようとするのではなく、反対に、「もう少し、自分のことは自分自身で面倒を見よう。自己完結をして、もう少し独立しよう。人に世話をかけなくても自分でやっていけるようにしよう」と思うことです。そういう人とは、比較的、付き合いがしやすいと思います。

 いつも「他人の助けが欲しい」と思っていることを、「自分は人間関係は深い」「自分には友達が多い」などと考えるのは間違いです。友情とは、そういう関係のことでありません。ほんとうに自立している独立心がある人ほど、相手と対等の立場で、「君子の交わり」ができるようになります。

「自分は借金が五億円ある」という人と、誰が友達になるでしょうか。そんな人と友達になりたいでしょうか。そんな人と友達になると、何か、隙を見て連帯保証をさせられる気がするのではないでしょうか。「事業経営が不振で、借金がたくさんある」「家族に、さまざまな問題が噴出している」などという人と、なかなか付き合いはできません。

 不思議なことですが、幸福な人は、さらに幸福になり、不幸な人は、さらに不幸になります。

「人の助けが欲しい」と思う人は、まず、セルフヘルプの精神を持ち、自分で自分自身を助けようとしてください。金銭的にも精神的にも、あるいは仕事の面でも学業の面でも、なるべく、インディペンデントで、自立、独立できるように努力してください。そういう人ほど、他の人との関係が結びやすくなり、さらに大きなネットワークが生まれてきます。

 借金をたくさん抱えている人と友達になりたい人はいません。金銭面でもそうですし、精神面でもそうです。精神的に反省や清算ができていなくて、悩みを山のように持っている人とは、そう簡単に友達になれません。

 友達が欲しいなら、自分一人で生きていける人間になることです。そうすれば友達がたくさんできます。ところが、一人では生きていけない人間には友達ができなくなります。