例えば、宝くじに当たり、1億円を手にしたとします。あなたなら、その1億円をどのように遣いますか。住宅ローンの返済にあてますか。家を買いますか。世界一周旅行をしますか。大好きな趣味に活かしますか。1円も遣わず1億円を貯金しますか。あるいは、家族のみんなに分配しますか。愛する女性にあげますか。ユニセフに寄付しますが。新しい事業の元手にしますか。株式に投資されますか。お金の遣い方は、人それぞれでしょう。

 1億円の宝くじを当てた方が、数年のうちに遣い果たし無一文になってしまうようなことを、よく耳にします。おそらく、その方は1億円の遣い道が分からず、1億円というお金を受け止めるだけの器がなかったのでしょう。その方に、1億円を受け止める大きな器があれば、お金も喜んでくれて、多くの方を幸せにできたと思います。

 はやり、お金が先にあるのではなく、人間として大きな器つくりが先にくると考えます。宝くじで当てたお金は、いわばあぶく銭です。器のない方は、所詮、大きなお金を一時的に持ったとしても、お金の正しい遣い方が分からないので、持ち崩してしまうのでしょう。

 1億円の器のある人ならば、おそらく1億円の生きた遣い道をされると思います。それは、その1億円を2億円にも3億円にも増やしていかれる方ではないでしょうか。もちろん、お金を増やすだけでなく、その増やしたお金で、多くの方を幸せにされるでしょう。そのような遣い方が、お金を受け止める器の大きさだと考えます。

 世界には大富豪と呼ばれる方が、世界人口の1割程度いっらしゃいますが、お金だけでなく、健康にも恵まれ、夫婦仲もよく、親子関係も良好で、もちろん、ビジネスも順調な大富豪となると、その1割の30%程度らしいです。お金だけが大富豪の定義ではないということですね。大富豪でも、家庭不和の方、健康に恵まれず病気の方もいらっしゃいます。大富豪の定義としては、健康も家庭も仕事もお金も大富豪であってほしいものです。

 偉そうに書いている私は、今のところ大富豪に縁のない人間ですが、お金に困ったことはありません。それは、いつもお金に「ありがとう」と感謝しているからだと思っています。

 話は変わりますが、経営の神様と言われた松下幸之助さんの「ダム経営」は、大富豪と一致する経営の要諦だと改めて感じています。お金のダム、人材のダム、信用のダム、人格のダムをダムのように大きくしていくこと。つまり、大きな器つくりが、30%の大富豪になる秘訣ではないでしょうか。