道は無数にあると思っています。無数の道が目の前にあると思えば、人生は大いに楽しいものです。囲碁や将棋と同じで、次の手は無数にあります。
目の前に一本の道しかないと思って、これをどうしても走らねばならないと思っている人にとっては、道のところどころに障害物が置かれるとそれだけで四苦八苦が始まります。ところがある人の目には、その道は一本道には見えないのです。まるで碁盤の目のように縦横無尽に走っている道が見えます、目の前に障害物が現れれば横に動き、またまっすぐ進む、どのようにでも進んでいける、こうした道を開発することが可能です。私は囲碁をしますが、この考え方によく似ていて、次の手は無数にあります。
また、人間には自由意志というものを与えられています。この自由意志は、様々な選択をなしてゆく権利と責任を与えられたということです。そうすると、最良の結論を選ぶために努力することが可能なはずです。これしかないと自分で決めこむのはもう止めることです。もっといい方法があるのではないか、それを常々考え続けることです。
道は無数にあります。さらには物事の考え方には、垂直思考と水平思考があります。
垂直思考というのは、例えば井戸を掘るときに水が出てこないとするならば、これはまだ掘り方が足りないと思ってどんどん深く掘る、堀り続けるというのが垂直思考です。たいてい人はこうした考え方を持っています。
ところが、これに対して水平思考は、ある地点を掘って、井戸から水が出なければ、まったく違うところを掘ってみる、いろんな井戸を掘ってみる、これが水平思考です。こうした方法は現にあるのですが、実生活においてはなかなか思いつくことができないところがあります。
今、井戸の例をひきましたが、人生のように抽象的な問題になると、井戸を複数掘るというようなことが考えつかなくなってきます。自分にはこれしかないと思ってしまうのです。例えば、今の会社で行きづまっている、上司とは合わない、部下とも合わない、昇進のめどもない、仕事がおもしろくない、しかし辞めると家族が飢え死にをしてしまう。この時に取るべき結論は二つしかありません。このような職場であってもなんとか打開すべくがんばってゆくか、それとも新天地を求めるかという、このどちらしかないわけです。
そして、その時に決めかねているならば、どうすれば決められるかということを考えばよいのです。まず自分自身の判断で決めるという方法があります。友人に聞いてみる方法もあります。あるいは徹底的に転職なら転職ということを調べあげてみる方法もあります。また、自分の会社に可能性はないと思っているが、本当にないのかどうかを徹底的に研究してみるのです。そうすると、意外に道が開けてくることもあります。
垂直思考だけでなく水平思考がないか、まったく別なところから穴を掘っていけないかどうか、こうしたことを常々考えていくことです、これもまた成功生活の秘訣であると思います。
私も若い頃、一年うち十回ぐらい、転々と転職を繰り返した経験があります。この時に水平思考という考え方を知り、今の行政書士の道に進むことができました。
今でも囲碁をしますので、無数の道のことは頭で理解していますが、元々、へぼ碁ですので、無数の手があっても、どの手がよいのか迷いますが、その時は、師匠に教えてもらうしかありません。無数の道を選び取る時は、よき師匠を持つことも一つの智慧です。師匠がいない時は、自分にとって一番しんどい道を選ぶことにしています。殆ど間違いありません。