社会福祉法人は、事業活動計算書、貸借対照表、資金収支計算書などの財務諸表を求められます。今回は、資金収支計算書のお話です。
簡単に、資金収支とは「一般的に流動資産と流動負債の増減を表したもの」という表現をされています。しかし、この表現では少し理解しにくいところがあります。
例えば、車両を現金で購入した場合には、車両という固定資産が増加します。確かに流動資産の現金は減少しますが、車両という固定資産が増えます。固定資産が増えるので、ちょっと理解に苦しみますね。
表現方法を変えてみます。資金収支とは「一般的に流動資産だけの増減時も、流動負債だけの増減時も資金に影響を及ぼすので、これらの増減を表したもの」と表現すれば、理解が進み腹に落ちます。ゆえに、資金収支計算書の勘定科目に「固定資産の取得支出」が含まれていることも簡単に理解できます。
資金収支計算は、流動資産の増減又は流動負債の増減のですから、流動資産の場合は、現預金だけでなく事業未収金や立替金なども含みます。流動負債の場合は、未払金や短期借入金なども含みます。但し、賞与引当金や退職引当金は流動負債から除かれます。
その結果、資金収支計算書(決算額)の一番最後の「当期末支払資金残高」と、貸借対照表の「流動資産-流動負債(引当金は除く)」の金額が一致します。決算時のチェックポイントの一つですね。
次に事業活動計算と資金収支計算書の違いを述べます。
まず、事業活動計算書とは、単純に損益計算書と捉えてください。
そこで、両社の違いを「減価償却費」という勘定科目で説明いたします。減価償却費は、損益計算の費用です。ゆえに、事業活動計算書(損益計算書)の中に費用科目として記載し、損益計算をします。
一方、減価償却費は現金の支出がありませんので、資金収支計算書に記載しません。確かに固定資産(車両)の購入時には現金が支出されますが、減価償却費そのものは、資金の動きがありませんので、資金収支計算書に反映されません。
また、車両購入時には、車両は固定資産に計上され、事業活動計算書には反映されません。減価償却をすることによって損益計算として、事業活動計算書に反映されます。もちろん、車両購入時には、現金が動きますので資金収支計算に「固定資産取得支出」として計上されます。