社会福祉法人の本部会計には収入が全くありません。

 しかし、本部経費は存在します。例えば、法人役員の役員報酬、理事会、評議員会の運営に係る会議費、その他法人本部に帰属する妥当な経費があります。

 これらの会計処理をしていくことになりますが、収入がないので、本部経費だけでは、当期活動増減差額が赤字になります。事業活動内訳表を作成した時に「当期活動増減差額」も「次期繰越活動増減差額」も、赤字になってしまい妥当な計算書類とは言えません。

 そこで、本部経費の穴埋めをする必要が生じてきます。黒字のサービス区分や拠点区分から補填します。例えば、本部会計を一つの拠点として会計処理をしているなら、黒字の拠点から、補填することになります。

 通常は、施設から役員報酬を支払します。その時の仕訳は次のとおりです。

   役員報酬××× / 普通預金(現金)×××

 このままなら、全額、施設の役員報酬になってしまいます。この役員報酬は本部経費です。本部には収入がないので施設で立替払いになるわけですが、資金を動かさずに簡単な仕訳を示すと次のようになります。施設から役員報酬を支払った時に「拠点区分間繰入費用」という科目を使って会計処理します。

   拠点区分間繰入費用××× /普通預金(現金)×××

 本部会計の方は、上記の会計処理を受けて、次のような仕訳になります。

   役員報酬××× / 拠点区分間繰入収益×××

 これで、本部会計の「当期活動増減差額」も「次期繰越活動増減差額」も、妥当な計算書類になります。

 本部会計については、本部を拠点区分又はサービス区分として、施設とは別に会計処理しなければならないことになっています。施設の運営とは別の経費は、施設の経費にしないということです。

  ただし、社会福祉法人においては法人本部と施設間の資金の繰入れは無制限に行うことはできません。

 社会福祉事業の施設等の収入は公的なお金であるため、原則としてその施設の支出等に使用することとされているためです。

 一定の要件を満たす場合や一定の限度額の範囲内であれば、資金の繰入れや貸付が認められていますので、資金使途制限には十分に注意なさってください。