一般貨物運送の許可を受け運輸開始から6ヶ月以内に、適正機関からの巡回指導があります。その指導項目の1つに「運輸安全マネジメントの実施は適正か」と問われます。これは義務付けられていますので、実施しなければなりません。
以下、簡単に「運輸安全マネジメント」について説明いたします。
1.運輸安全マネジメントとは
運輸安全マネジメントとは、経営トップ(社長)自らが、輸送の安全の最高責任者として安全管理の体制を整え、安全管理の取組み計画を作るとともに、社員を指導・指揮して、以下の3つの役割を果たすことです。
⑴ 安全に関する基本的な考え方(安全方針)を示します。
⑵ 安全方針を実現するため、年度ごとに具体的な安全目標を定め、その達成に向けて取
り組みます。
⑶ 安全管理の取組みの状況を社長が年1回点検し、問題があれば改善します。
もちろん、従来の運行管理や輸送の安全確保のための指導・監督も必要ですが、運輸安全マネジメントは常に経営トップ(社長)自らが関わることが重要なポイントとなります。
具体的にが、次のようなPLAN(計画)→ DO(実施)→ CHECK(評価)→ ACT(改善)の「PDCAサイクル」を繰り返し、輸送の安全性を向上させていきます。
2.PDCAサイクル
⑴ PLAN(計画)
輸送の安全確保を図るための計画を作成します。
⑵ DO(実施)
作成した計画に基づいて安全対策を実施します。
⑶ CHECK(評価)
実施した結果、どんな効果があったか評価します。
⑷ ACT(改善)
改善点を整理し、さらに計画を見直して実施します。
3.PDCAサイクルを回す9つのポイント
運輸安全マネジメントを推進するに当たっては、具体的にどのような活動に取り組めばよいのでしょうか。
国土交通省では、中小規模の運送事業者(車両台数100台未満でかつ営業所が1箇所)が取り組むべき安全管理のポイントとして、以下の9項目を努力義務としてあげています。
9つのポイントはPDCAサイクルを効果的に回すに当たって必要な事項ですので、これを踏まえて実施することを意識しましょう。
運輸安全マネジメントを実施しない場合の違反による行政処分はありませんが、安全情報の公開や運転者への指導・監督に関しては、未実施により行政処分を課されることもあります。
⑴ 経営トップ(社長)の責務を定めます。
⑵ 安全マネジメントに関する基本的な安全方針の策定をします。
⑶ 安全方針に基づき、安全目標を定めて実施計画を立案します。
⑷ 輸送の安全確保を図るための社内組織体制の構築をします。
⑸ 計画を実行するに当たって必要な費用を支出します。
⑹ 実施計画に基づいて、安全対策を確実に実行します。
⑺ 輸送の安全に関する情報の伝達と共有化を図ります。
⑻ 事故・災害時の報告・連絡体制を構築しておきます。
⑼ 運輸安全マネジメントの実施状況を最低年に1回はチェックし、改善すべき事項があ
れば必要な改善を行います。また、取組み内容を記録して保管します。