「信じる力によって病気が治る」ということは、それほど不思議なことではありません。多くの人は、「病気を治す力」はなかなか持てませんが、「病気をつくる力」なら、ほとんどの人が持っています。
ガンを治す力を持てなくても、ガンをつくる力は、ほぼ全員が持っています。無理をしたり、不養生をしたり、ものすごく感情を乱して破壊的な生き方をしたりすれば、おそらくガンができるはずです。
「体のなかにガン細胞をつくり出す」ということは、本当は難しいことです。そういう悪い方向のことならできるのですが、「ガンをなくす」という、良い方向については、なかなかできないわけです。
これは、多くの人が、「自分の体が自分の想念によって形成される」という、念の力、心の形成力というものを知らず、想念の使い方を十分にマスターしていないことを意味します。
破壊的な想念のほうは、いくらでも出せるのですが、良いほうの想念、調和的で建設的な想念の使い方を、ほとんどの人は教わっていないために、病気を治せないでいるのが現状です。
病気をつくることができるのですから、病気を自分で治すことも、本来は可能なはずです。まず、そのように考えることが病気を治す第一歩になります。
病気をつくっているのは、あなた自身です。安保徹先生の著書「人が病気になるたった2つの原因(講談社)」の書籍でも、同じように力説されています。
みなさんに、「一年以内に病気になってください」と言ったら、それは可能だろうと思います。世の中には、どんなことをしても死なないような、丈夫な人もいるかもしれませんが、たいていの人は、病気になろうとすればなれるはずです。
例えば、「夜も寝ないで働く」「一億円以上の借金は無理なのに、十億円の借金をする」「毎晩、夫婦喧嘩をする」など、そのようなことをすれば、すぐに病気になるでしょう。あるいは、「子供が悪さをする」という場合でも病気になりますし、若い人であれば、失恋をしても病気になります。
そのように、人は簡単に病気になります。精神的なショックによって心身の不調和を起こせば、病気はすぐにつくることができるのです。
病気をつくることができるのに、治せないというのは、おかしなことです。病気を治せないのは、本当は、「病気を治す気がない」ということです。病気になると、自分の欲求不満や失望感、できないことの言い訳ができるわけです。要するに、「病気になれば許される」ということです。
例えば、自分に能力が足りないことも、病気になると許されます。収入が増えないことも、病気になれば許されます。子供の教育がうまくいかないことも、病気になると許されます。この場合、病気になるのは、自分でも、子供でも、ほかの家族でも、誰でもよいのです。
また、恋愛でふられた場合も、病気になると、何となく、その問題から逃れられるわけです。
したがって、病気といっても、単に偶然でなっているのではなく、一種の「人生の逃げ場」を求めて自分から病気になっている場合もあります。そのことを知ってください。
体の調子が悪くなり、病気になったときに、「自分の逃げ場をつくっていないか。病気に逃げ込む必要が自分にはあったのではないか」ということを、一度チェックしてみることが大事です。
病気になった人に、「あなたは病気に逃げ込んだでしょう」と言ったら、ほとんどの人は怒るでしょう。「見舞いの言葉を述べるのならともかく、病気に逃げたなど、なんと失礼なことを言うのか」と言って怒るかもしれません。
表面意識では、自分が病気を求めていることが分からないのですが、病気ができていく過程を第三者の目で客観的に見ると、やはり、何らかの逃げ場を欲していることが分かります。
自分が不本意な生き方をしていたり、うまくいっていなかったり、挫折したりしている理由を説明するために、病気を必要としているのです。
それから、勤勉で、休みを取れないタイプの人も、自分で病気をつくることがあります。
どうしても休むことができないタイプの人、自分は休みを取ることを許せないタイプの人は、病気でもならないと休めません。そのため、体の病気をつくり、「休みなさい」ということを教えてくれるわけです。潜在意識が、実は休みを欲していて、それで病気ができてくることもあります。
したがって、自分の病気を客観的に眺めてみて、「なぜ、自分はこんな病気になったのだろうか」ということを考えてみる必要があります。