知り合いの得意先の社長から相談を受けました。

 相談内容は相続で取得した土地ですが、その土地に明治時代に設定された根抵当権が残っていました。その抹消方法を教えてくださいという内容でした。

 もちろん、私の職務内容ではないので、知り合いの司法書士さんにその抹消方法を教えていただきました。私も勉強になりましたので、掲載させて頂きました。

 

 結論から言いますと、明治時代の根抵当権でも、現在の法律に基づいて抹消手続をしなければならないとの事でした。

 ただし、権利者(抵当権者)の協力が必要であり、権利者が不明、不存在の場合は、裁判所の手続が必要になることでした。裁判所の手続とは、不在者財産管理人選任という手続を家庭裁判所に申請します。明治時代なら、不在者財産管理人選任というケースが多いらしいです。

 

 以下、状況別にまとめてみました。

 

1.権利者(抵当権者)が判明している場合

 抵当権者から「根抵当権抹消登記申請書」への署名押印をもらいます。

 抵当権者の印鑑証明書(発行後3か月以内)も必要になります。

 明治時代の根抵当権でも、権利者が現存し協力してくれるなら通常の抹消と同じ扱いになるという事です。

 

2.権利者が死亡しているが相続人が分かる場合

 相続人全員から抹消の同意を得ます。相続関係を証明する戸籍謄本一式を揃えて、相続人名義で抹消登記を申請しますとの事でした。

 但し、明治時代の権利だと戸籍が古く、除籍謄本・改製原戸籍など大量になりますし、相続人を探す手数や時間も相当かかります。

 

3.権利者が不明・行方不明・相続人も不明な場合(最も多いケース)

 明治時代の根抵当権では、ほとんどがこのパターンです。

 この場合の解決方法は、家庭裁判所に「不在者財産管理人選任」を申し立てます。

 選任された管理人が、土地の所有者と協議して抹消登記に必要な書類を作成して法務局で抹消登記をします。

 家庭裁判所に必要なものは、不在者財産管理人選任申立書、権利者が不明であることを示す資料(住民票除票、戸籍の附票、調査結果などです。また、土地の登記事項証明書、申立手数料(収入印紙)、郵便切手も必要になります。

 手続期間は、申立から選任まで1か月から3か月程度かかります。その後の抹消登記は1週間から2週間程度かかります。

 

4. 根抵当権が「消滅時効」で消えているという疑問

 明治時代の根抵当権は、実質的には債権が存在しないことがほとんどです。しかし、時効で消滅していても、登記は自動では消えません。抹消には必ず「権利者の協力」または「裁判所の手続」が必要です。

 

5.実務的な最短ルート

 今すぐやるべきことは、次の順番です。

 登記簿の根抵当権者の氏名・住所を確認します。つまり、現存するか調査(住民票・戸籍など)をします。見つかった場合は、協力を依頼します。見つからない場合は、 家庭裁判所で不在者財産管理人選任を申し立てます。

 

6.専門家に依頼なさってください

 明治時代の権利抹消は、戸籍が非常に古く、権利者が不明等、裁判所手続が必要という理由で、司法書士に依頼するケースが圧倒的に多いです。