1.概要
先日、古い友人から死因贈与の相談を受けました。
死因贈与とは、例えば、私が亡くなったら、私の土地建物を貴方にあげますという契約です。土地建物をあげる人を「贈与者」といい、土地建物をもらう人を「受贈者」といいます。つまり、贈与者と受贈者の合意によって締結される贈与契約の一種です。
この死因贈与契約自体は、贈与者が存命中に契約の締結が行われますが、死因贈与契約の効力は、贈与者の死亡時より発生します。なお、契約名称は「贈与」ですが、税法上、死因贈与契約によって贈与された財産等は、贈与税の対象ではなく、相続税の対象になり、相続税が課されますので、注意が必要です。
2.贈与税ではなく相続税の対象になります
死因贈与契約を締結し、その後、贈与者である方が亡くなれば、相続が開始されます。その相続財産の一部に、死因贈与契約で交わした財産が含まれているわけですから、その財産も含めて、相続財産が基礎控除額以下なら相続税は課税されません。
基礎控除額は、「3,000万円+600万円×相続人の数」で算出される金額です。
したがって、通常の贈与では、基礎控除額は110万円しかありませんので、死因贈与を選択したほうが、大抵の場合、低い税額になると考えます。
仮に法定相続人以外の人に対する死因贈与であっても、相続税の対象ですから、法定相続人よりも2割増しの相続税になりますが、それでも通常の贈与の場合より有利です。
3.不動産取得税がかかります
一般的な相続で取得した不動産には、不動産取得税は課税されませんが、死因贈与の場合には、受贈者に不動産取得税が課税されます。土地や建物の固定資産評価額に対して3%の課税です。住宅以外の建物は4%です。
4.登記時の登録免許税
死因贈与で贈与された不動産を登記する時に、登録免許税は固定資産評価額の2%かかります。一方、通常の相続により不動産を取得すれば、登録免許税は固定資産評価額の0.4%で済ませることができます。死因贈与の5分の1です。
結論として、死因贈与に係る税金の内、相続税に関してはメリットがあり、不動産取得税と登録免許税に関しては、デメリットといえます。