1.契約の定義

契約とは、複数の当事者が相互間に、権利・義務を発生させることを目的とする合意であり、法律的な拘束を受ける約束ごとです。

公序良俗に反しないかぎり、契約するか否か、相手に誰を選択するか、どんな内容や方式に定めるか、契約は自由です。契約自由の原則といいます。

また、お互いに相手の信頼を裏切らないように誠意をもって履行する信義誠実のもとに、当事者の行為が保証されます。

書面、口頭の別を問わず成立し効力を生じますが、口約束では紛争の原因になるので、建設業法では、重要な事項を書面にして相互に交付することを義務づけしています。

 

2.契約の種類

民法では、贈与、売買、交換、賃貸借、雇用、委任、請負、和解などの13種類の契約があります。建設業務にかかわる契約は、主として売買、賃貸借、雇用、委任、請負などです。

 

3.売買契約

当事者の一方が、相手側にある物の所有権を譲渡することを約し、相手側がこれに対価を支払うことを約することで効力が生ずる契約です。建設業では、資機材や消耗品などの契約に用いられます。

 

4.賃貸借契約

当事者の一方が、相手方にある物の使用および収益をさせ、後に返還させることを約し、相手方がこれに対して賃借料を支払うことを約することで効力を生ずる契約です。建設業では、仮設用地の賃貸借、機械や仮設資機材などの契約に用いられます。

 

5.雇用契約

当事者の一方(労務者)が、相手方(使用者)に対して、労務に服することを約し、相手方がこれに報酬を与えることを約することで効力を生ずる契約です。組織間で交わされないので、直接契約ともいいます。

例えば、建築工事の請負をしようとする本人が、自ら労務者などを直接雇い入れて、彼らを指図して、その仕事を完成させる場合の契約に用いられます。労務それ自体の提供であって、その労務による成果は、契約上は問題とされません。

 

6.委任契約

例えば、ある仕事をしようとする者が、法律行為、事務処理などを他人に委任し、委任を受けた者がこれを承諾することによって効力を生ずる契約です。これに要した費用は、実費精算されます。

委任された業務を処理すること自体が目的となり、対象となる仕事の完成を要件とするのではありません。建設業では、コンサルタントやCMなどの契約に用いられます。

 

7.請負契約

ある仕事の完成を約した者(請負者)が、自己の責任で完成させ、相手方(発注者)が、その仕事の結果に対して報酬を払うことを約することで効力を生ずる契約です。仕事の完成が請負契約の核の部分です。

建設業で採用される契約は、委任契約と請負契約に大別できるが、建設工事のほとんど全部が、請負契約によって行われているのが現実です。