監査役の仕事は、業務監査と会計監査があります。
会社法の「監査役設置会社」の監査役とは、業務監査と会計監査の両方の仕事をする人のことをいいます。つまり、業務監査と会計監査の両方について権限を持っているのが、会社法でいうところの監査役設置会社です。その根拠条文が会社法2条9号です。その中に「監査の範囲が会計に限定する場合は除く」となっていますので、会社法でいう監査役設置会社は、業務監査も含んでいなければなりません。
ところが、現実には小会社でも監査役を置いている会社があります。そういう会社は、会社法が予定している「監査役設置会社」に該当しませんということです。小会社とは、資本の額が1億円以下で負債の総額が200万円未満の会社が該当します。現実に監査役を置いているのに、なぜ、会社法の監査役設置会社に該当しないのでしょうか。
その理由は、平成18年5月1日の会社法が施行されるまでは、会社の規模により監査役の権限が法律で決まっていました。つまり小会社の場合、監査役の権限は、株式の譲渡制限規定の有無に関係なく、会計監査に限定されていました。平成18年5月1日の会社法の施行後も経過措置がおかれ、従前の小会社の定款には、監査役の権限を、会計監査に限定する定めがあるとみなされました。(定款に書いていなくても)
その結果、小会社に監査役を置いていても、会社法でいう「監査役設置会社」に該当しないので、「監査役の監査の範囲を会計に限定する」となりました。これは、履歴事項証明書の登記事項なので、登記する必要が出てきたわけです。