建設工事紛争審査会は、建設業法に基づいて設置されている「建設工事の請負契約」に関する紛争を解決する裁判外紛争処理(ADR)機関です。

審査会は、当事者の一方又は双方が建設業者である場合の紛争のうち、工事の瑕疵(不具合)、請負代金の未払いなどのような「工事請負契約」の解決又は実施をめぐる紛争の処理を行います。

 

1.契約当事者間の紛争

契約当事者間の紛争とは、例えば、注文者と元請負人の間、元請負人と下請負人の間、一次下請負人と二次下請負人の間などです。契約に係る直接の当事者間の紛争です。

したがって、直接の契約関係にない元請・孫請間の紛争、近隣住民の方と工事請負人の間で、騒音が問題になっている紛争などは、契約当事者間の紛争ではありませんので、審査会では取り扱っていません。

 

2.取り扱っている代表的な例

⑴ 契約の解除に関する紛争

住宅の新築を注文した個人注文者が請負人に対して新築工事の請負契約の解除を求める紛争

⑵ 工事の瑕疵に関する紛争

自社ビルの修繕工事を注文した法人注文者が請負人に対して工事完成後に剝離した外壁タイルの補修を求める紛争

⑶ 工事代金の支払いに関する紛争

請負人が法人注文者に対して追加変更工事代金の支払いを求める紛争

⑷ 下請代金の支払いに関する紛争

下請負人が元請負人に対して下請代金の支払いを求める紛争

 

3.取り扱っていない紛争

⑴ 住宅の売買や賃貸、あるいはその仲介などは「請負契約」ではないので、これらに関する紛争

⑵ 建設工事に伴う騒音・日照などに関する近隣の方々との紛争

⑶ 建設工事の請負契約の場合でも、発注者から工事を受注した元請業者と孫請業者との紛争(直接の契約関係がないため)

⑷ 発注者から委託を受けて設計監理を行った建築事務所と発注者との間の紛争(請負契約ではないので)

⑸ 雇用契約に関する紛争

 

しかし、このように、建設工事紛争審査会で取り扱うことができない紛争は、すべて裁判にもっていくしかないというと、そうではありません。他にもいろいろな裁判外処理機関(ADR機関)があります。

⑴ 弁護士会の「あっせん・仲裁センター」

⑵ 住宅品質確保法に基づく指定住宅紛争処理機関

⑶ 不動産適正取引推進機構

⑷ 裁判所における(民事調停)