建設現場から排出される産業廃棄物について、元請業者と下請業者に分けて説明いたします。収集運搬業及び積替保管の許可の有無については、元請工事を基本に考えると理解が深まります。

 

1.元請業者の場合

 仮に元請業者をA社とし、A社が受注した元請工事のY建設現場から排出される産廃について、話を進めていきます。また、A社は、自社専用の保管置場があるとします。

 この場合、Y建設現場から排出される産廃を、A社の車両でA社の従業員が、A社の保管場所に運ぶ場合には、収集運搬業及び積替保管の許可は不要です。いわゆる、自社物の運搬に当たるからです。

 またA社の保管場所ではなく、Y建設現場から直接に中間処理業者や最終処分業者の施設まで、A社の車両でA社の従業員が運ぶ場合にも収集運搬業の許可は不要です。

 建設会社が元請工事をする限り、産廃に関する許認可は不要です。しかし、各自治体の条例により、自社の保管場所に産廃等を保管する場合は、一定の基準等があり届出等を定めています。詳細については、各自治体に問い合わせてください。

 

2.下請業者の場合

 一方、Y建設現場から排出される産廃を、A社が下請業者に運搬の依頼をし、A社の保管場所に運ぶ場合には、現実に運搬する下請業者が収集運搬業の許可を持っていないと、法違反になります。下請業者は自社の建設現場ではないので、他人の産廃を運搬することになるからです。

 また下請業者が、A社の保管場所ではなく、Y建設現場から直接に中間処理業者や最終処分業者の施設まで、下請業者が運ぶ場合にも、当然に収集運搬業の許可は必要です。

 

3.下請業者の保管場所に一時保管する場合

 上記1の場合、Y建設現場から排出される産廃を下請業者が運搬し、下請業者の保管場所に一時保管する場合には、収集運搬業の許可も当然に必要ですが、この場合には「積替保管」の許可も必要になります。他人の産廃だからです。

 もっとも、下請業者がY建設現場から直接に中間処理業者や最終処分業者の施設に運ぶ場合は、「積替保管」の許可は必要ありません。

 下請業者の場合には、収集運搬業の許可は元より、ケースによっては積替保管の許可が求められますので、ご注意ください。