結論から述べますと、都市型ハイヤーを申請される会社によって、準備される資金計画は異なります。例えば、資金計画の内、車両費に関して既に自己所有されていれば、車両費に関しては0円になります。これから新たに購入予定で申請されるなら、その台数分だけの金額が必要になります。リース車なら2か月分です。また、営業所の建物や車庫が、賃借物件ではなく自己所有されていれば「土地費、建物費」は0円になります。賃借物件なら最低2ヶ月分の資金が求められます。その他、人件費をはじめとする運転資金等も、運転者の人数や人件費の上下で変化しますので、「事業開始当初に要する資金」はケースバイケースです。

 そこで近畿運輸局の公示(審査基準)を見ますと、1の(9)に資金計画と題して、次のように記載されています。

1.所要資金の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。なお、所要資金は次の(イ)~(ト)の合計額とし、各費用ごとに以下に示すところにより計算されているものであること。

(イ)車両費  取得価格(未払金を含む)又はリースの場合は1年分の賃借料等

(ロ)土地費  取得価格(未払金を含む)又は1年分の賃借料等

(ハ)建物費  取得価格(未払金を含む)又は1年分の賃借料等

(ニ)機械器具及び什器備品  取得価格(未払金を含む)

(ホ)運転資金  人件費、燃料油脂費、修繕費等の2か月分

(ヘ)保険料等  保険料及び租税公課(1年分)

(ト)その他  創業費等開業に要する費用(全額)

2.所要資金の50%以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金が、申請日以降常時確保されていること。なお、事業開始当初に要する資金は、次の(イ)から(ハ)の合計額とする。

(イ)1の(イ)に係る頭金及び2か月分の分割支払金、又はリースの場合は2か月の賃貸料等。ただし、一括払いによって取得する場合は、1の(イ)と同額とする。

(ロ)1の(ロ)及び(ハ)に係る頭金及び2か月の分割支払金、又は、2か月分の賃借料及び敷金等。ただし、一括払いによって取得する場合は、1の(ロ)及び(ハ)と同額とする。

(ハ)1の(ニ)~(ト)に係る合計額

 具体的には「所要資金及び事業開始に要する資金の内訳」という書類に記載して算出します。

 この書類は、「所要資金額」と「事業開始当初に要する資金」の2項目で設定されていて、「所要資金額」に関しては合計額の50%相当額以上、「事業開始当初に要する資金」に関しては100%以上の資金が求められます。ゆえに「事業開始当初に要する資金」がクリアすれば、問題なく「所要資金額」の方はクリアします。

 上記の運転資金は、「運送費」と「管理経費」の二つに区分し記載します。

 運送費は、運転者、運行管理者及び整備管理者の人件費(給与、手当、賞与、法定福利費、厚生福利費)を備考欄に分けて記載し、その合計額を記載します。

 例えば、営業区域が大阪市域交通圏なら最低車両は10台ですので、運転者の数も最低10名分は必要になり、運行管理者及び整備管理者を含めて12名分に係る給料手当の2か月分になります。賞与に関しては、支給しない計画なら0円でもかまいません。法定福利費は、給与、手当及び賞与の年額の13%となり、同様に厚生福利費は年額の2%を記載します。

 あと、運送費に関しては、燃料油脂費、修繕費(外注修繕費、自家修繕・部品費、タイヤチューブ費)、その他経費を算出します。それぞれ2か月分です。

 管理経費に関しては、役員報酬、事務員の給料、手当、賞与、法定福利費、厚生福利費、その他経費を算出します。計算方法は運送費と同様です。

 次に保険料等に関しては、自賠責保険料、任意保険料(見積書を添付)、自動車重量税、自動車税、自動車取得税、登録免許税を記載します。最後に、その他創業費等を記載します。自動車税等は、予定される車両に合わせて税額表等

で算出します。

 簡単に、車両費、土地費、建物費の取得価格(又は賃借なら2か月分)、運転資金の2月分、保険料及び租税公課の1年分、創業費等の合計額が自己資金として求められます。つまり、所要資金の50%ではなく、「事業開始当初に要する資金」の合計額以上の資金が求められます。

 最低2,000万円程度で収まる場合もあれば、3,000万円から5,000万円以上になるケースもあり、一概に言えません。出来る限り説得力のある資金計画を立ててください。